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Yamareco

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2012年05月09日 22:33山の安全全体に公開

資料から検証 白馬岳の低体温症遭難1)当日の目撃者の証言

 現場がGWの北アだけに、ある程度の目撃証言があ
ると見てきました。報道と、ヤマレコの記録とから、貴
重な内容と思われるものを紹介していきます。

 3年前のトムラウシ遭難で「疲労凍死」という誤った
認識が、ようやく「低体温症」という正当な認識にあら
ためられ、その独特の進行過程なども登山者の間に初め
て広く認識されてきたと、私自身は考えてきました。

http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-3691
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-9921
 しかし、今度の遭難を見ると、それが依然として徹底
されてこなかったことを痛感しています。
 現地の遭対協や警察発表にくわえて、独自の取材によ
る調査報道も始まっています。

 低体温症の本当の怖さを知るには、実例をリアルに見
ることが何より重要と思います。今回は、生存者がいな
かったために、トムラウシの事故にくらべて、リアルな
過程を知ることには困難があります。しかしだからこそ、
限りあるなかで得られてくるデータは貴重だと思いま
す。
 今回、犠牲になられた方々の中には、ある時期までは
判断力が機能していて、「無念さ」を思った方もおられ
たことでしょう。

 事実とそれにもとづく考察という形で、データと情報
とから、何が起こったのかを,考えていくことにします。

///////////////////

6人の足どり。天候の悪化と行動との時間表

 それぞれの証言と確認とから、天候の悪化と行動経過を時系列で表わしてみます。
 (この時間表の裏付けとしたデータ、証言は、コメント部分に提示しています。)

◇5月4日

5時30分ごろ。
 6人の遭難パーティーが栂池ヒュッテを出発。
 全員が弁当を2人前ずつ持って白馬岳へと向かった。

 (別の10人パーティーも前後して栂池を出発。このほかに、男女ペアパーティーも先行していた。)

 気象庁の高層気象観測点の石川県輪島市の上空約3千メートルで観測された気温は、4日午前9時時点で0度。

 「午前中晴れ」。(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)
 「午前中は青空が見えていた」(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

 「栂池ヒュッテから天狗原、乗鞍、大池方面へはバッチリ踏み跡があり最高に登りやすかった。」(同時刻に蓮華温泉へむけて行動していたヤマレコ・ユーザーの記録)

10時50分。
 「10:50頃よりガスと雨、でも晴れている変な天気。」(八方尾根のヤマレコ・ユーザー)

 このころ、先行した男女ペアパーティーは、小蓮華岳にとりついたあと、天候の変化を考え、引き返し、6人パーティーと大池付近で会話する。6人パーティーは、「白馬へ行く」と話す。(蓮華温泉へむけて行動していたヤマレコ・ユーザーの記録)


11時すぎ。
 6人パーティーが大池を発つ。
 (コースタイムから2時間20分遅れ。)

11時ごろ?
 「白馬岳方面に、すごい高山が見えたと思ったら、雲が山の形を作っていた。」(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

 *上空に局地的に現われた小さなレンズ雲か?

11時30分すぎ。
 「急に天候が悪化し始め、やがて大粒の雨と強風が吹き出し」た。(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

12時10分。
 「稜線(2150m)に出たところで風雨により撤退決定」(雪倉岳のヤマレコ・ユーザーの記録)

 「不帰の嶮側から強風、雨も強くなる体感温度もかなり下がる。ハイマツ帯の切れ目に退避して冬パンツ重ねばき、フリースにアルパインジャケット、ビーニー・・・しかし濡らしてしまった袖口と膝付近がかなり冷たい、行動中は良いが休むと冷えが襲う。」(八方尾根のヤマレコ・ユーザー)

12時30分。
 雪倉岳をめざしていたヤマレコ・ユーザーのパーティーが撤退を開始。

13時ごろ。
 三国境まで到達した10人パーティーが、天候悪化のため引き返す。

13時30分。
 小蓮華岳の10分ほど下の位置で、10人パーティーが、6人パーティーに会い、挨拶しあう。
 「全員が疲れた様子で別の人のザックを担いでいる人もいた」(「毎日」9日付)。「1人が疲れた様子で、その人のザックを別の人が担いでいた」(「毎日」6日付)

14時前。
 「天候はすれ違って20分もしないうちに急変。」(10人パーティーによる)

14時ごろ。
 「急に雲が出始め、風の強さが増す。」(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)

15時ごろ。
 「標高2,500mでは風速15-20m(推測)、みぞれ混じりから、雪に天候が変化。」(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)


15時すぎ?。
 遭難パーティーが、三国境の手前まで到達し、行動を停止。

 午後には「目が開いていられないような猛吹雪だった」(爺ヶ岳 種池山荘の小屋主、「日経」5月6日付)

17時40分。
 遭難パーティーの1人から携帯電話でSOSが家族(福岡県)に入る。家族は大町署に救助を願い出る。

 「夕食のころテントを張っていた方も撤収して、小屋へ。寒くておられないとのこと 」(唐松山荘のヤマレコ・ユーザー)

18時
 白馬山荘では、気温が零下2・5度。

20時。
 「午後8時頃からさらに風速が強まり、深夜1時に突風。 テントは半分がひしゃげ、フライを支えるポールが曲がる。」(白馬3峰で幕営した、ヤマレコ・ユーザーの記録)


21時。
気象庁の高層気象観測点の石川県輪島市の上空約3千メートルで観測された気温は、4日午後9時に氷点下0・7度。

◇5月5日。

4時20分ごろ。
 「本来なら御来光の時刻 外は全く氷の世界 アイゼンバリバリに効く」。(唐松山荘のヤマレコ・ユーザー)

7時40分。
 白馬岳から大池へ下山中の愛知県の登山者が、6人の遺体を発見。110番通報。「6人のまわりにテントのようなナイロンが散らばっていた。風で飛ばされたような状態だった。」

8時。
 現場を通った埼玉県の登山者が、6人を目撃。「5〜6人が倒れているのが見えた。2〜3mおきに倒れていたり、体育すわりのような姿で集まっていた。」
 「6人の手袋やネックウォーマーなどが落ちていた」。

 「雨具の中に夏山用のシャツなどを着ただけの軽装だった。」(「毎日」5月6日付」
 「6人は断熱材のない雨具に、綿のズボン、ウールのシャツの軽装だった。」(「読売」同)

 「遭難時に避難のために掘る雪洞を作った形跡は付近になかった。」(白馬村遭難防止対策協議会のH救助隊長の証言)

////////////////////////////

この検証の別の角度からの検討は、下記に続きます。
検証 白馬岳低体温症遭難2)カロリー収支の角度から装備と行動食を見る
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-35253

検証 白馬岳低体温症遭難3)持参した保温衣料はなぜ使われなかったのか?
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-35495
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コメント

「先生 どうしましょう」。すれ違った登山者の証言。
 「毎日」5月9日付夕刊が、遭難パーティーと小蓮華
岳で行き違った登山者の証言を伝えています。
 10人パーティーのこのグループは、遭難した6人
パーティーに先行して小蓮華岳を越え、主稜線の三国境
まで達したのちに、13時前後、天候悪化で引き返しを
決定。小蓮華岳より10分ほど下で、遭難パーティーに
出会いました。
 13時30分ごろ。

 10人パーティーのリーダーは、遭難パーティーにつ
いて「全員が疲れた様子で別の人のザックを担いでいる
人もいた」と証言。また、「1人が、『先生どうしま
しょう』というのを聞いた」とも証言しています。

 リーダーは、「天気が崩れて、疲れているようなの
で、引き返すかどうか、相談していたのだと思う」と述
べています。

 記事では、「天候はすれ違って20分もしないうちに
急変。」
「ひょうのようなものも降ってきて痛かった」と書いて
います。


 5月5日夕のNHKテレビでは、小蓮華岳の上部で1
5時ごろ、下山中に遭難パーティーと行き違った登山者
の証言を報道していました。
 疲れた様子で、手袋をしていない人がいた、
 この時期の北アにしてはあまりに装備が少なかった、
 と、この登山者は語っていました。



 **以下、私の補足コメント**
 遭難した6人パーティーは、小蓮華の下の地点で、栂
池ヒュッテを出てから、すでに8時間も行動していまし
た。
 しかもこの地点で、すでにザックを担げないメンバー
が出ていたことになります。
 しかし、目撃されたこの場所から、6人はさらに登り、小蓮華のピークを越え、三国境の手前で、亡くなってい
ます。
 行程などから見て、目撃された場所から、遭難地点ま
では、1時間余りはかかっていたと推測されます。
2012/5/9 22:34
行動時間の大幅な遅れの疑問
 6人の遭難パーティーは、栂池ヒュッテから白馬乗鞍岳をへて白馬大池を経由し、白馬岳を目標にして行動し、白馬山荘へ4日午後の到達をめざしていました。

 通常の夏タイムで、白馬大池まで2時間40分、そこから小蓮華岳をへて主稜線の三国境まで2時間10分。
 栂池ヒュッテの出発は朝5時半でした。

 大池には、夏タイムならば9時すぎには着けた可能性がありました。

 ヤマレコの次の記録に、目撃証言があります。
 *印の見出しのみ、tanigawaによる。


///////////////////////////////

http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-187612.html
5/4:6:30栂池-8:30天狗原-10:15白馬乗鞍岳-11:30白馬大池-13:00天狗の庭-14:30蓮華温泉(テン泊)

 *大池までのルート。

「栂池ヒュッテから天狗原、乗鞍、大池方面へはバッチリ踏み跡があり最高に登りやすかった。」

 *乗鞍から大池
「乗鞍山頂で休憩中、少し風が強くなってきた。
大池への下り途中、男女ペアの方とすれ違い、
「どちらから?」
「小蓮華で天気が悪くなったので引き返してきた。どちらまで?」
「蓮華温泉です」
「下るのなら大丈夫かな」
「5,6人パーティーとすれ違いませんでした?あの方たちも蓮華温泉?」
「白馬岳までと言っていました」
ここでお礼を言うのは諦め、すごいなぁ、などど思ったのだったが、
まさか、あんな事になるとは。

 
 *大池で11時34分撮影の写真の記述
「大池で乗鞍ピークでお会いした男性が大池の南側に下りて小蓮華への稜線へ直登していきました。
 凄い、頑張れ!
と思っているうちにガスに包まれていました。」

 「先ほどのパーティー。
小蓮華方面へ登っていきます。
この時は「いやぁー頑張るなー」などと思っていました。」

 *連続して撮影した写真には、小蓮華岳へむかう6人が写っています。

///////////////////////////////

* 遭難パーティーは、11時少しすぎに大池を発っていたことになります。
 ここまで出発から5時間経過。コースタイムから2時間20分遅れ)
 雪が歩きやすく、先行の10人パーティーなどのトレースもありました。この遅れの問題は、ヤマレコ・ユーザーも5時間かかっているため、湿り雪の条件もあったのかもしれません。

 先行の10人パーティーは出発時刻が不明のため比較できません。しかし、やはり夏タイムより条件が悪かったことが、三国境までの到達時刻から、推測されます。

 前コメントの目撃証言では、退却して生還した10人パーティーが小蓮華岳の下で遭難パーティーに遭遇したのは、13時30分です。
 6人パーティーは、大池から、2時間30分。(コースタイムからさらに1時間余り遅れ)
 ここまで栂池から、8時間。この時点で、時間的に白馬岳を越えて白馬山荘に到達することは、晴天でも困難が出てきました。

 そのうえに、10人パーティーに目撃された時点で、自分のザックを担げないメンバーがすでに生まれていました。

 天候の本格的な悪化の時間帯が迫り、少なくとも2つの他のパーティーがUターンをするなか、終始大きく遅れる行動時間のまま、6人は主稜線へ、さらに進んだことになります。
2012/5/10 8:12
貴重な現場周辺の当日の気象変化の記録
 ヤマレコと、そこに記録をアップする登山者の威力を見せているのが、5月4日、遭難当日の現場周辺の気象観察の記録です。
 その行動ぶり、果敢な挑戦と判断などとあわせ、どなたのものも、現場のそのときの様相を示し出してくれています。
 アドレスを示していますので、ぜひ現物の記録を訪問されてください。

 *印のみ、tanigawaのコメント。


’鯒漏拏舂任療俘亀録
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-188710.html

5/3:猿倉→白馬尻
5/4:白馬尻→3峰付近
5/5:3峰付近→白馬岳山頂→白馬尻
5/6:白馬尻→猿倉

このGWは、天候が非常に悪く、
・3日:雨のち晴れ
・4日:午前中晴れ、午後2時頃から急に雲が出始め、風の強さが増す。
東側には前線の影響と思われる積雲が立ち込め、動かない。
午後3時頃から、標高2,500mでは風速15-20m(推測)、みぞれ混じりから、雪に天候が変化。
午後8時頃からさらに風速が強まり、深夜1時に突風。
テントは半分がひしゃげ、フライを支えるポールが曲がる。
・5日:午前中霧。もなか雪。気温は0度程度(推測)。風速は弱まるが、午前中いっぱいは霧が晴れず、11時頃から次第に霧が晴れる。

*この記録は、遭難現場から1キロ弱のもの。
現場の天気の変化をほぼそのまま再現していると思われます。
天候は14時に崩れ出し、15時ごろからみぞれまじりの風雪となっています。
風速については、主稜線ではさらに強かったと思われます。
しかし、風が現場より弱いこの記録の位置でも、夜半に冬用テントが倒されかけていました。


∪秡匈拏辺
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-188087.html

5/4 曇りのち雨
06:40 ロッジ出発(シールなし) 
    途中でシールをセットして、兵馬ノ平南側をトラバース
08:20 瀬戸川通過ポイントを探してスノーブリッジ通過
    沢コース(一般コース)をシール登行
12:10 稜線(2150m)に出たところで風雨により撤退決定、シール解除、スキー滑降準備
12:30 撤退開始
    シール登行した同じコースをスキー滑降
13:00 瀬戸川スノーブリッジ通過点、シールセット -13:15
    兵馬ノ平南側のトラバース
    ロッジの前庭?のミズバショウ観賞   
15:10 ロッジ着

*ロッジとあるのは、蓮華温泉ロッジです。
*以下は、写真の説明。

今日(5/4)は予報では、天気が回復方向であり、実際に午前中は青空が見えていたが。。。

標高1900mあたりの尾根越えポイントで休憩する。まだまだ青空が出ていて気持ちがいい。しかし、のちの調査によると、これは『擬似好天』だったらしい。

白馬岳方面に、すごい高山が見えたと思ったら、雲が山の形を作っていた。もしかしたら、これが遭難を引起した悪魔なのか?

11時半をすぎてから、急に天候が悪化し始め、やがて大粒の雨と強風が吹き出し、我々は、標高2150m地点で撤退を決めた。

*現場から1キロ北のこの場所では、昼前から悪天の兆候が出始めていました。12:30 撤退。
 

H方尾根から唐松山荘
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-188776.html

*5/4の行動記録 
9:15八方池山荘〜10:10第3ケルン12:15丸山ケルン(途中ダケカンバのところで大休憩


10:50頃よりガスと雨、でも晴れている変な天気)
丸山ケルン出ると完全な雨と北西(右側)からの強烈な風 
ハイマツ帯で風除け・冬装備に転換・・・
しかし濡れた袖口と膝のあたりが寒い、
行動を停止すると冷えて凍傷になりそう。
キックステップで登る急登よりもだらだらと長いゆるい尾根筋で風にふかれ、雨で腐った雪は本当に疲れる、また遮るものは何もない。
   

13:50唐松岳頂上山荘17:00夕食 

*感想から
 4日午前中快晴、第3ケルンあたりからぽつぽつ、でも空は真っ青ですぐ止みそうな具合。
 ドライの長袖シャツに合物パンツ・ゴアのスパッツ、アイゼンは登り使用せず。

 丸山ケルンすぎ不帰の嶮側から強風、雨も強くなる体感温度もかなり下がる。ハイマツ帯の切れ目に退避して冬パンツ重ねばき、フリースにアルパインジャケット、ビーニー・・・しかし濡らしてしまった袖口と膝付近がかなり冷たい、行動中は良いが休むと冷えが襲う、また急登はキックステップで登りやすいが、雨でじゅくじゅくになった雪は歩きにくく、また何も遮るものがない尾根筋でうける風はつらい。20k超の荷物も苦になってきた。

 小屋着後 強風と雨はやむ気配なく、夜中に飛ばされるかもと(設営もままならない)思い小屋泊に変更

5日 4時20分 本来なら御来光の時刻 外は全く氷の世界 アイゼンバリバリに効く

*写真のキャプション
 テント泊予定でしたが、この風雨では夜中に飛ばされます。
 変更して山荘へ直行 
 同じ時間帯の単独行の方2名も 小屋へ
 夕食のころテントを張っていた方も撤収して、小屋へ 
 寒くておられないとのこと

 本来なら御来光の時刻 小屋の玄関内部もこの通り 外は吹雪

*この記録は、現場からは10キロ近く離れた場所ですが、天候悪化と、機敏な着衣の着こみの描写がすばらしく、紹介しました。 夜半にテントを飛ばさかねないほどの強風、そして5日朝には一気に氷の世界に変じる様子も記録されています。


*ここでは各ユーザーの今度の事態への思いや体験がなかなましく綴られているため、私のコメントは遠慮して、別のコメントに書きます。
 低体温症に懸命に挑み、あるいはこれを未然に防止する措置をとりながら、どれもずばらしい敢闘の記録と思います。
 同時にあの日の午後と夜半とに、遭難者らを襲った悪天候の厳しさがリアルに伝わってきます。
 
2012/5/10 22:01
6人の足どり。天候の悪化と行動との時間表
 それぞれの証言と確認とから、天候の悪化と行動経過を時系列で表わしてみます。

◇5月4日

5時30分ごろ。
 6人の遭難パーティーが栂池ヒュッテを出発。
 全員が弁当を2人前ずつ持って白馬岳へと向かった。

 (別の10人パーティーも前後して栂池を出発。このほかに、男女ペアパーティーも先行していた。)

 気象庁の高層気象観測点の石川県輪島市の上空約3千メートルで観測された気温は、4日午前9時時点で0度。

 「午前中晴れ」。(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)
 「午前中は青空が見えていた」(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

 「栂池ヒュッテから天狗原、乗鞍、大池方面へはバッチリ踏み跡があり最高に登りやすかった。」(同時刻に蓮華温泉へむけて行動していたヤマレコ・ユーザーの記録)

10時50分。
 「10:50頃よりガスと雨、でも晴れている変な天気。」(八方尾根のヤマレコ・ユーザー)

 このころ、先行した男女ペアパーティーは、小蓮華岳にとりついたあと、天候の変化を考え、引き返し、6人パーティーと大池付近で会話する。6人パーティーは、「白馬へ行く」と話す。(蓮華温泉へむけて行動していたヤマレコ・ユーザーの記録)


11時すぎ。
 6人パーティーが大池を発つ。
 (コースタイムから2時間20分遅れ。)

11時ごろ?
 「白馬岳方面に、すごい高山が見えたと思ったら、雲が山の形を作っていた。」(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

 *上空に局地的に現われた小さなレンズ雲か?

11時30分すぎ。
 「急に天候が悪化し始め、やがて大粒の雨と強風が吹き出し」た。(雪倉岳東面のヤマレコ・ユーザーの記録)

12時10分。
 「稜線(2150m)に出たところで風雨により撤退決定」(雪倉岳のヤマレコ・ユーザーの記録)

 「不帰の嶮側から強風、雨も強くなる体感温度もかなり下がる。ハイマツ帯の切れ目に退避して冬パンツ重ねばき、フリースにアルパインジャケット、ビーニー・・・しかし濡らしてしまった袖口と膝付近がかなり冷たい、行動中は良いが休むと冷えが襲う。」(八方尾根のヤマレコ・ユーザー)

12時30分。
 雪倉岳をめざしていたヤマレコ・ユーザーのパーティーが撤退を開始。

13時ごろ。
 三国境まで到達した10人パーティーが、天候悪化のため引き返す。

13時30分。
 小蓮華岳の10分ほど下の位置で、10人パーティーが、6人パーティーに会い、挨拶しあう。
 「全員が疲れた様子で別の人のザックを担いでいる人もいた」(「毎日」9日付)。「1人が疲れた様子で、その人のザックを別の人が担いでいた」(「毎日」6日付)

14時前。
 「天候はすれ違って20分もしないうちに急変。」(10人パーティーによる)

14時ごろ。
 「急に雲が出始め、風の強さが増す。」(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)

15時ごろ。
 「標高2,500mでは風速15-20m(推測)、みぞれ混じりから、雪に天候が変化。」(白馬岳主稜を登攀中のヤマレコ・ユーザーの記録)


15時すぎ?。
 遭難パーティーが、三国境の手前まで到達し、行動を停止。

 午後には「目が開いていられないような猛吹雪だった」(爺ヶ岳 種池山荘の小屋主、「日経」5月6日付)

17時40分。
 遭難パーティーの1人から携帯電話でSOSが家族(福岡県)に入る。家族は大町署に救助を願い出る。

 「夕食のころテントを張っていた方も撤収して、小屋へ。寒くておられないとのこと 」(唐松山荘のヤマレコ・ユーザー)

18時
 白馬山荘では、気温が零下2・5度。

20時。
 「午後8時頃からさらに風速が強まり、深夜1時に突風。 テントは半分がひしゃげ、フライを支えるポールが曲がる。」(白馬3峰で幕営した、ヤマレコ・ユーザーの記録)


21時。
気象庁の高層気象観測点の石川県輪島市の上空約3千メートルで観測された気温は、4日午後9時に氷点下0・7度。

◇5月5日。

4時20分ごろ。
 「本来なら御来光の時刻 外は全く氷の世界 アイゼンバリバリに効く」。(唐松山荘のヤマレコ・ユーザー)

7時40分。
 白馬岳から大池へ下山中の愛知県の登山者が、6人の遺体を発見。110番通報。「6人のまわりにテントのようなナイロンが散らばっていた。風で飛ばされたような状態だった。」

8時。
 現場を通った埼玉県の登山者が、6人を目撃。「5〜6人が倒れているのが見えた。2〜3mおきに倒れていたり、体育すわりのような姿で集まっていた。」
 「6人の手袋やネックウォーマーなどが落ちていた」。

 「雨具の中に夏山用のシャツなどを着ただけの軽装だった。」(「毎日」5月6日付」
 「6人は断熱材のない雨具に、綿のズボン、ウールのシャツの軽装だった。」(「読売」同)

 「遭難時に避難のために掘る雪洞を作った形跡は付近になかった。」(白馬村遭難防止対策協議会のH救助隊長の証言)
2012/5/11 19:07
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