ぐるり一周! 北穂高岳、槍ヶ岳、大天井岳、常念岳、蝶ヶ岳を巡る山旅


- GPS
- 104:00
- 距離
- 54.2km
- 登り
- 4,329m
- 下り
- 4,326m
コースタイム
- 山行
- 1:15
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 1:20
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 7:50
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 8:20
- 山行
- 6:05
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 7:35
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 8:35
天候 | 全日程快晴 10月6日のみ一時アラレ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
新宿-松本間高速バスと松本-上高地間の電車バス利用で往復8,200円とお得 ※ただし、窓口のみの販売 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北穂沢南陵:自他、自然による落石に注意 大キレット:全般要注意 三点確保 東鎌尾根:痩せ尾根あり油断禁物 大天井ヒュッテ-大天荘:ガレ場通過注意 その他急坂:慎重に登降しましょう |
その他周辺情報 | 小梨の湯:600円(少し高い) 12時から19時まで 小梨平食堂:生ビールが安い450円(食事は14時から16時?まで休み) |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
備考 | 上下ダウン必須 できればダウンシューズも |
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感想
爆弾低気圧が通過した後から好天が続く予報を見て、いつか歩いてみたいと思っていながら実行できないでいたルートに挑戦してきました。実際に歩いてみて思ったのは、思い描いていたものをはるかに超える素晴らしいルート(穂高常念ビッグルートと勝手に命名)でした。
10月4日(日) 薄曇りのち晴れ
高速バス、電車、バスと乗り継いで、お昼に上高地に到着。いつもの早朝出発とは違い、観光客で賑わう河童橋でスタートの記念写真撮影。穂高の山々の頂上付近が雲に覆われているのに不安を覚えるものの、お昼ごはんを済ませて出発。今日の目的地は徳沢園なので、のんびりと、、、とはいかず、気持ちが急いて、ついスタスタ歩いて14時過ぎに到着。いつものように宿に一番近いカツラの樹の下にテントを張ります。今年のカツラの樹は、黄葉も進み、少し落葉したもののまだ緑を残しているので、ここに戻ってくるまで葉が残っているでかもしれません。山に目を転じれば、明神岳、前穂高岳の上空には雲はなく、明日からの本格山行の好天に期待します。
10月5日(月) 快晴
夜明け前、テントを出て見上げると、雲はなく、星空が広がっていて、山行日和としては申し分ない天気に気分が高まります。が、出発はすっかり明るくなってからと、悠長なものです。これからのハードな山行、自分大丈夫か?
横尾で改めて身支度を整え、いよいよ山に突入。ザックの重さもなんのその、順調に歩を進めます。そもそもここで苦しんでいるようでは、とてもこの先歩き続けることはできないので、少し安心。
涸沢に入ると、紅葉はさらに進んで見事な秋色を見せてくれるようになりました。今年の涸沢の紅葉は確かに早く、昨年より1週間から10日くらい進んでいるようです。涸沢ヒュッテ周辺で紅葉写真を撮影し、涸沢小屋ではいつもお世話になっている小屋番の方に挨拶をしてから、北穂高岳のテント場に向けて登高開始。今後の行程を考えて、体力温存のためストックを使っての登高です。
そういえば雪のない北穂高岳に登るのは、約20年ぶり。あーっ、ここはこんなにキツイ登りだったんだ!と、早くも根をあげそうになります。北穂沢もキツイし、南陵もキツイ!多くの人に“抜いてもらい”ながら、今年初の3千メートル級だしだの、荷物も重いしだのと自分に言い訳をしつつ、足と肩をダマしながら高度を上げていく。ヒィヒィ言いながら、それでもなんとかコースタイムほどで登ることはできたけれど、これからの行程はロングルートで、本当に歩ききれるだろうかと不安がよぎります。
飛騨側は雲が出ているようなので、今日は登頂せず、しっかりご飯を食べて早々に就寝。明日の大キレットを歩いている夢を何度も見ながら、無事歩ききれるだろうかと、こちらも夢で不安になりながら、長い夜を過ごします。
10月6日(火) 快晴のち曇り、一時アラレ
4時に起床。テントの外に顔を出すと、無風、快晴、星空!今日もいい日になりそう。ただこの日も準備に手間取り北穂高岳山頂で日の出を見るつもりが、向かっている途中でご来光、、、まだまだテント山行の感覚が戻っていません。それでも山頂に上がれば、快晴のもと、周囲の山々が見渡せ、眼下には雲海も広がり申し分ない眺め!今回の1座目は幸先の良いスタートとなりました。
北穂高小屋前で準備を整え、いよいよ大キレットに突入。こちらも初めて渡った約20年前以来なので、緊張、ドキドキが止まず。小屋の北側から斜面を一気に下り、そしてききなり悪い足場へ。頭の中で「三点確保、三点確保!」と、念仏のごとく唱えながら手足を動かし進みます。滝谷が見えてきました。おぼろげな記憶では、滝谷側に回り込むように、スッパリと切れ落ちた壁を手で鎖を掴み、足場はボルトのようなところをトラバースするところがあったと思ったのですが、そのようなところはなく、それでも常に緊張させられるルートであることに変わりはなく、長谷川ピークまでは気が抜けませんでした。
南岳への登りはそれまでほどではないものの、長い梯子は緊張します。ようやく南岳山頂に到着し、緊張がとけました。あとは槍ヶ岳までグイグイ歩いていくだけです。ただ、大キレット通過中から笠ヶ岳付近に出だした雲が徐々に広がりはじめ、この頃には飛騨側はすっかり雲に覆われてしまいました。この分では槍の穂も飲み込まれてしまう!今日は殺生のテント場泊のつもりだったから、なんとか今日、眺めのいいうちに槍ヶ岳に登りたい!槍ヶ岳山荘に到着してすぐに準備を整え、槍の穂へ。昨年のお盆の時は大渋滞で辟易した登りもサクサクと進み、飛騨側はやはり雲が厚くなってきているものの、なんとか青空と視界が広がる山頂を満喫することができました。
殺生ヒュッテのテント場に着く頃、アラレが降りだし、夕方まで降り続き、中岳の北斜面にはうっすら積雪も確認できました。天気のいいうちに槍への登頂ができてよかったです。
日没頃、槍の穂は雲に隠れているものの、稜線上には夕焼けが見えています。まだまだ疲労は出ていませんが、明日は予定どおりスタートできるよう、今夜も早くに就寝です。
10月7日(水) 快晴 風あり
今朝もテントから顔を出すと、昨夜の雲は何処へやら。最高の天気!もしかしたら、昨日よりもいいかもと期待してしまうほど良い天気。そして、ようやく予定どおりに出発できました。今朝の目論見は、ヒュッテ大槍でのご来光と、赤富士ならぬ“赤槍”を見ることです。ヒュッテ大槍に着いた頃にはかなり明るくなっていましたが、ご来光に間に合いました。今日も素晴らしい日の出に感謝です。さらに!狙いどおり、燃えるように赤く染まる槍の穂を目にすることができ、幸先のいいスタートです。
さて、今日はロングルート。撮影し終えると、予定どおり常念へ向けて出発。
東鎌尾根を下るのは初めてで、もちろん登りほどは辛くないものの、いくつか危険な場所もあるため、ヘルメットをかぶった方がよかったかもしれません。水俣乗越からの登り返し。こちらの急登は下りよりも登りの方が楽かな。そのように思えたのは、体が山に慣れてきたからかなあ、なんて調子のいいことを思っていたら、そこよりも大天井ヒュッテまでの喜作新道や大天荘までの登りの方が結構堪えました。調子こいたらアカン!
6座目の大天井岳は唯一の初登頂!遠く北には剱岳も見えます。昨日までいた北穂高岳はもちろん、朝に発った槍ヶ岳も遠く感じます。ずいぶん歩いてきたなあ。ただ、まだ道半ば。先を急ぎます。
ここからはこれまでとは打って変わって快適な尾根歩き。東天井岳を回り込むと、斜面一面ハイマツ帯で、遠目に見ればとても綺麗。けれどもハイマツ帯=クマさんと、ビビリな自分は少々キョロキョロしてしまいます。鈴が鳴るようにしとけばよかった。
目の前に見えている常念岳ですが、意外となかなか近づかない。緩い登り下りを繰り返し、ようやく常念小屋が見え、小屋まで下降するのみとなっても、これが曲者!なかなかの急坂、足場もよくなく、慎重に下ります。そして樹林帯を抜け、ようやく常念小屋に到着。今日は山行最後の夜で、明日の準備を考えて小屋泊まりにしました。
常念小屋は約3週間ぶりですが、前回のシルバーウィークまっさかりの時は、食事が6回戦とすざまじい混雑ぶりだったのが、それに比べれば今日は静かです。夕食時、燕からの方に日本酒をご馳走になり、またその方に鎮痛塗り薬を頂戴し、とても助かりました。
明日は常念岳山頂でご来光を拝むため、準備を整えて、本日も早々に就寝。
10月8日(木) 快晴 時々風強し
4時前に起床。テント泊はさすがに寒い秋の北アルプスでも、小屋泊まりは快適この上なく、むしろ暑いくらいで、しっかり休養できました。
山行最終日。前日買っておいたパンを食べて、お茶をボトルに詰めていざ出発、、、が、出発早々困難に直面。常念岳へは、前回は多くの人が登っていたため、ヘッドランプがなくても迷うことなく登れましたが、今回は登る人がほとんどおらず、ライトを照らしても登り口までのルートさえわからない!前日にしっかりルート確認しておけばよかった、と後の祭りと自分を罵りながら、なんとか道を見つけて登り始めるものの、そこでも時折ルートを外れ、右往左往する情けなさ。おまけに念のためにと前日わざわざ電池を交換しておいたヘッドランプが、接触不良なのかだんだん暗くなってくる始末。幸い間も無くライトがなくても良いくらいに明るくなってきたため歩けましたが、今度は山頂でのご来光に間に合うかギリギリのタイミングに。
フル装備を背負って、ゼェゼェ、ハァハァ息を切らせて登っていると、西に見える槍穂高の上空がほんのりピンク色に染まってきました。日の出は近い、とあせりつつ、まるでオーロラが槍穂高上空に舞っているような、薄ぼんやりとしたその空を見ていると、あーこれが見たかったんだと、これまでの山行を祝福してもらったような感慨を味わいました。(もちろんその間もゼェゼェ、ハァハァ喘いでいるのですが、、、)
山頂でのご来光は間に合わないと思いましたが、水平線に少し雲があったおかげか、山頂到着とほぼ同時にご来光が。なんとか間に合った!
寒風が強い山頂でのご来光と槍穂高の眺めを満喫して、予定どおりに下降開始。常念小屋のある北斜面と比べ、南斜面は急で、一部手も使って慎重に下る必要があります。ここは時間をかけてゆっくり下ります。その後、岩稜帯を過ぎ、快適に歩けるかと思ったものの、これがなかなかのヤリ手。下りは歩きにくく、登りは急坂。常念岳山頂からは蝶ヶ岳ヒュッテが割合近くに感じられるほどなのに、コースタイムが結構あるのはこのためか!
慌ててもしょうがない、じっくり味わってやろう。そう思いつつも、蝶槍までのアップダウンに難儀しました。蝶槍を過ぎると、アップダウンは大してないものの、なかなかヒュッテが見えてこず、あれ、こんなに遠かったっけ?と少々うんざりし始めた頃、まってました蝶ヶ岳ヒュッテ到着!朝にパンを食べたきりなので、ここでラーメンでおなかを満たし、8座目蝶ヶ岳山頂を踏んで、ここまでずっと見えていた槍穂高の眺めともお別れ。長塀尾根を徳沢園目指しての道にかかります。
9座目、最後の山頂長塀山はサラリと登頂し、長い長い道を下ります。ビビリな自分は、もちろん鈴をカランカラン鳴らすのは抜かりなく。樹林帯で視界が利かないため、時折見える前穂高岳や明神岳あたりの斜面や、河川敷が白く見える梓川で大体の高さを想像しながら下りますが、高度が下がっているようにあまり感じないのが気持ちを焦らせます。ただここで焦って転んではこれまでの山行が水の泡になる。とにかく一歩一歩確実に!それだけを心がけての下山でした。最後、徳沢園の建物の屋根が見えてからも急がず慎重に、そしてついに3日前に出発した徳沢園到着!感慨無量ながら、ソフトクリームで早速下山祝い。
出発の時、黄葉していたカツラの樹の葉はすっかり枯れていました。先日ヒョウが降った日にでも気温が下がり、落葉の前に枯れてしまったのでしょうか。わずか3日間でも季節は一気に進むのを感じす。
小梨の湯で汗を流し、お隣のレストランで下山ビール(ジョッキ450円!)で祝杯をあげて、来た時とは違って快晴の穂高連峰を改めて見上げながら、山行を終えることができました。
長期山行、それもテントを背負っての縦走は本当に久しぶり(4年ぶりだ!)で、北穂高岳すら登れるのか?大キレットを無事通過できるのか?ケガをせずに歩き通せるのか、もしかしたら途中で中止、下山になるのではないか?など、心配は尽きませんでしたが、最高の天気に助けられ、無事に終えることができました。
これで山行に自信がついたということはありませんが、まだまだ歩きたい様々なビッグルートをあきらめなくてよいと思うと、ちょっとニヤニヤしてしまいます。
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