ヒグマの場合、もともと食べ物の大部分は植物でした。
ところが10年ほど前からエゾシカを捕食する肉食化が強まりました。温暖化と、狩猟数が人間の側の事情で減ったことから、エゾシカが増えているのが原因。知床でさえ12月末まで冬眠せず、深雪で動きにくい鹿を襲って食べ、くらすヒグマが目撃されています。
深いパウダー・スノーのなかでは、蹄が小さい鹿よりも、足裏の面積が大きなヒグマの方が、敏捷なんだそうです。
北海道の陸の王者が、いよいよ本領を発揮しだしたのか?
ヒグマの仲間は北へ行くほど大型化し、性格が激しくなります。この最大の要因は、餌となるサケが緯度が高いほど、1年のうち長期間、河川に遡上するためだとわかっています。そして千島やカムチャツカなどの大型のヒグマは、人がいても、意に介さない、堂々としたふるまいを続ける。
今度のニュースのように人を恐れぬふるまいを見ると、北海道のヒグマがもともと北方系であることを痛感します。
本州のツキノワグマとの接触が増えているのも、ベースには温暖化で山の食物の供給量に大きな変動が起こっていることがあるように思っています。
それと、クマと人との前線・緩衝地帯だった山里での、人間の生産活動が後退していることも、原因といわれています。
私の、直観的な思い込みかもしれませんが、人間の狩猟圧や、ツキノワグマへの圧力が弱まってきて、クマに「境界線」を押し返されているように感じます。農業の後退と荒廃で、山里エリアでの人間の活動力が弱まってきているのではないかなと。
登山者や釣り師、山菜採りなどにとっては、いままでの人の行動域でまで、熊と遭遇する機会が増えることになります。
とくに肉食傾向が強まったヒグマは、鹿を相手に狩りの技量が上がっているはずですから、この生態の変貌は怖いと感じます。
いったん人を襲ったヒグマはより怖いとされてきましたが、鹿を日常的に食べ、次第に獲物の急所を学んできたヒグマは、人を襲う場合も以前のヒグマではないと思います。
遠因の一つの温暖化問題。地図の等高線ではなく、地球上の同じ平均気温の地点を結ぶ「等温線」というものを考えたときに、いまこの等温線は10年間で56キロの速さで、北半球では北極方向へ、南半球では南極方向へと、移動しています。(アメリカ国務省のサイトも掲示)
野生動物がこのスピードで生息域を切り換えて適応することは、かなり困難。いままでにないふるまいを示し始めた彼らも、実は相当な困難に直面しているのかもしれません。
tanigawaさん、こんばんは。
とても怖い熊の話でした。
今年は例年以上に熊との遭遇や目撃は多い気がします。
この間テレビで熊出没に関する特集をやっていました。
>農業の後退と荒廃で、山里エリアでの人間の活動力が弱まってきているのではないかなと。
この様な限界集落が増え、放置された農作物を熊は餌として認知し、山から下りて来るとまとめられていました。
citrusさんの地域は、クマの密度ももともと濃いところですから、切実ですよね。
今年は例年より一ケタ多い、ツキノワグマとの接触情報数に跳ねあがっている様子です。
よく考えると、クマの側は、たとえば登山者がクマに気がつくよりも、ずっと早い段階で、先に人間の存在を把握しているはずなんです。
で、先にクマが、身を引いていた。
で、接触情報が増えたということは、人間の存在を早くから気づいていても、それを気に掛けないクマが増えたんだと思います。
あるいは、日常的に人間を遠目、近目で見てきているから、その調子で人家まで到達しても恐れなくなってきた。
それが、人間の側から見ると、この事態の進行に気づかなかったために、突然いっせいに、クマが人家そばまで、頻繁に現わ始めた! となる。
人間がクマをけん制し、クマも人間を寄せ付けず、遠巻きにする。そういう間合いが、人間の生産活動で維持されてきたのに、それがなくなった。
突然、車と鉢合せしたり、町中の騒ぎになったり。
実は、クマの方も調子が狂ってんじゃないかと、思います。
私には、斜里町の街中で右往左往していた写真のヒグマたちが、とても戸惑った顔をしていたように、見えました。自然の態勢ではない腰つき、でしたね。
こういう一種の人慣れしたクマって、山で対面したら怖いですね。
肉食化したヒグマも、怖い。顔をひっかくなんてだけでなく、急所(首)を確実に、本能的に、狙ってくるようで怖いです。
少なくとも10年以上前の北海道には、こういう生活・捕食様式を獲得したヒグマはいませんでした。
知床という厳しかったはずのエリアにまで、エゾシカが大量に生息し、冬越しするようになってからのことです。
tanigawaさん おはようございます
嫁の実家が北海道道南です。
義父はちょっとした里山を所有していて、高齢にもかかわらず、薪用に木の伐採や、きのこ・山菜とりとかでよく山に入っていました。
当然、ヒグマと遭遇した話は多々ありまして、切り株の上で熊が踊っていたのを見たとか・・・
一度ヒグマに襲われたことがありました。
親子熊と遭遇してしまい、子熊は木の上へ避難し、親熊が子を守るために襲ってきました。
親熊と格闘中に背中に大怪我を負いましたが、
なんとか下山し、病院嫌いの義父はそのまま隠し通そうとしたらしいのですが、義母にばれて病院行きとなりました。
熊に襲われたとなると役場の職員で捜索開始です。で、親熊は仕掛けられた檻の中で発見され殺されました。
当時、なんで山にいる熊を殺さなきゃならないの?わざわざ山に入ってまで?里に下りてきたわけじゃないんだから、そのままそっとしておいてあげればいいじゃん、人間が襲われた復しゅう?とか、思っていました。
でも違うんですね、
もともと熊は臆病な動物で、人間を恐ろしい(?)と思っていて、人間に近づくことはない。でも、一度人間を襲った熊は、「あー人間って全然チョロイのねー」となり、再び人間を襲うようになるとか。だから、殺してしまうしかないみたいです。
里に下りてきちゃった熊も同じです、人間って怖くないと思っているのだから。
斜里町の街中に現れた熊たちは、そのまま山に返してあげることはできなかったのです。
再び人間の前に現れるのですから・・・
こうなってしまった原因は、人間がやってきてしまった環境破壊です。
動物達の住環境を破壊し、絶滅へ追いやり、そして人間自身の首を絞め続けていることに気づかずに・・・
熊ちゃんたちが可哀想です。。
長文すみません。
slimeさんへ
うちのカミさんも、北海道です。義母は十勝で育ったので、法事になると熊撃ちの親戚らと、熊談義になります。
>斜里町の街中に現れた熊たちは、そのまま山に返してあげることはできなかったのです。
そうなんですね。動物園で飼うことができないならば、殺すという選択になる。
里山の人家に近付づて、接触が軽度な場合は、檻でとらえたあと、クマ・スプレーを見舞って、人間の怖さを味あわせて、解き放つ方法がよくとられます。
今年全国で現われ出したクマの問題は、原因と付き合い方について、いろいろな角度から考えていかねばならない事態になってきていると思います。
派生する話ですが、登山者にとっては、クマよけの鈴など人の居場所を教える対策が、「人なれ」した昨今のクマたちに、果たして効果があるのか? という問題もあると思います。
音を始終鳴らし続けるのは、人間の側からクマの警戒音性を把握しにくくするなどの点で、クマ除けの鈴は、使い方も考えねばならないと、思ってきました。
尾瀬では人慣れしてしまった熊を捕獲して、お仕置き(人間は怖いぞ!と再教育)してから山奥へ返すそうです。
国立公園だから、そこに住む動物を殺すわけにいかないための処置でしょうけど、かなりの成果を挙げているようですね。
もちろん同じことを日本全国の熊に対して行うわけにもいかないのが難しいところでしょう。
そして、熊は日本最大の肉食獣で目立つのでこんなに大騒ぎになっていますが、きっともっと小さいサイズの野生動物にも同じような影響が出てるんじゃないかなと想像してます。
熊だけじゃないと思うと、さらに難しい問題になってきますよね。。。
tszkさんへ。
>尾瀬では人慣れしてしまった熊を捕獲して、お仕置き(人間は怖いぞ!と再教育)してから山奥へ返すそうです。
クマもつらいでしょうが、共存をめざす人間の側の努力も、たいへんですね。
大量出没だった2006年の場合、環境庁の集計では、
5,185頭(そのうち殺処分されなかった数は506頭)
だったそうです。9割は殺処分ですね。
>きっともっと小さいサイズの野生動物にも同じような影響が出てるんじゃないかなと想像してます。
南アではシカが3000メートル級の稜線に上がり高山植物を食べています。キツネも稜線を目指し、ライチョウが危ぶまれている。
知床のシカ増加と、ヒグマの変化は上に書きました。
本州のツキノワグマについては、次のような証言があります。
「世界自然保護基金」のサイトの、「地球温暖化を防ぐ」シリーズから、「目撃者の証言:失われる白神山地・ブナの森。
証言者は、白神山地でブナの森とつきあってきた元マタギ(猟師)工藤光治さん。クマの出没数の増大などにふれたうえで、次のように述べています。
http://www.wwf.or.jp/activities/climate/witness/2008/10/20081015jpn.html
以下は、そのなかからの引用。
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虫の大量発生
さまざまな森の異変の中で、私が最も気になっているのは、ブナの実を食べる虫が白神全体で大発生していることです。ブナの実は、三角の形をした爪の先程の小さな実ですが、栄養価が高く、味も良いのが特徴です。秋になると、小鳥やネズミ、サルなどが好んで食べますし、私たちも山へ入ったときは、おやつ代わりによく食べます。特にクマはこの実が大好きで、わざわざ ブナの木に登って食べるほどです。
平均寿命が約250年のブナは、育ちの早い木でも、50年経たなければ実をつけません。実をつけるようになると、3年から5年ごとに栄養を蓄えながら花を咲かせます。豊作の年には、1本のブナで2万個の種を落とすと言われています。
しかし、近年のように、実るまでに虫に食べられてしまうと、ブナは子孫を繁栄させようとして、その次の年も花を咲かせてしまいます。その繰り返しが8年くらい続いています。これを見ていると、私は、ブナが疲れて実をつけなくなってしまうのではないかと心配しています。また、周辺の栄養源もなくなってしまうのではないかと心配です。
影響はクマにも及んでいます。クマは、初夏に交尾をし、秋にたくさん食べて、栄養満点になると初めて受精卵が子宮に着床し妊娠します。しかし、ブナやどんぐりの実が不作だと、十分な食べ物が得られず、仔が産まれません。里に出てくるクマが多くなったのは、ブナの森に限らず、何か森に異変が起きている影響なのではないでしょうか。
・・・(以下は、自然保護基金の解説)
環境省が2008年6月18日に発表した「気候変動への賢い適応〜地球温暖化影響・適応研究委員会報告書〜」によると、環境要因からブナ林の分布確率を予測する分類樹モデルによる解析では、現在ブナ林が分布する地域における分布領域は、2031〜2050年には、最悪のシナリオでは44%に減少し、そして2081〜2100年には、最悪シナリオで7%にまで減少すると予測されています。白神山地でも、ブナ林の分布適域は大きく減少すると予想されます。
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引用終わり。
やはり、日本の森でクマを追いたてるような何かが起こっているのだと思います。
その原因は、どこでも一律ということでなく、地域ごとにいろいろな現われをしているのでしょう。
こういうときに大事なことは、出没したクマの対処で悩むだけでなく、いまクマの生息地や生活に何が起こっているのか、おおもとをしっかり調べることではないかと思います。
撃ち殺しただけでは、だめで、もとから調べないと。
こんにちは、
tanigawaさんの日記は、おいしそうな手作りジャムがあったり遭難や気象の記事があったりと、ついつい読みふけってしまいました(^-^)
この日記の写真のナマコのようなものは、もしや熊のあれですか・・・?
私は山ではまだ鹿にしかあったことがないです。
エマージェンシーコール(遭難時などに使う笛)を吹くと「ピィッ」と鳴き返してくれるのが楽しいです♪
あと動物ではないですが、今年の夏はスズメバチに遭いました。
ハチは熊以上に良く遭遇しそうでコワイです。
今年の7月に山で両膝を刺されたという方と会ったのですが、同じ頃にその方以外にも3人もの方が刺されていて、刺された方が皆サポートタイツ+キュロット又はスカートという服装だったと伺って驚きました。
mitchさん、こんばんは。
男性用の「半ズボン」を私も使いますが、もし、タイツと併せた服装で蜂が攻撃的に興奮するとすると、怖いですね。
スズメバチの場合は、特別に怖くて、1度刺されるとその人に抗体ができ、2度目にショック症状で死亡する例もふつうにあります。
相手は警戒する時も目立つ動きをします。1度も刺されないように、注意したいですね。
刺されたときは、専門医の診断を受ける必要があります。
この日記の写真は、ツキノワグマの落し物です。
ずいぶん立派な落とし物、写真だけ見ていると何かの生き物みたいですね・・・
ハチに刺された人たちのタイツは黒だったようなので、タイツのようにピタッと体に密着した薄手の黒い服がハチに刺されやすかったのかもしれません。
同じ黒い服でも山用のズボンなら、セーフだったりして・・・
タイツも淡いグレーや水色といった明るめの色だったら、もしかしたら刺されなかったのかもしれませんね。
これから夏用のサポートタイツ類を買う場合は黒はやめとこうと思います
そういえば、以前私の日記にコメントをいただいた沢の事故の記事が今出ている岳人(1月号)に載っていました。
落ちた方は会のOBでパーティの2番目を歩いていて、3番目以降の方とは間隔が大分開いていたこと、滑落時にはトップと2番目の方2人だけだったことが書かれていました。
もしかしたらtanigawaさんのおっしゃっていたように上流側からロープを出したのかもしれません。
mitchさんへ。
>もしかしたらtanigawaさんのおっしゃっていたように上流側からロープを出したのかもしれません。
「岳人」はまだ見てないので、早めに読みます。
こういう場面では、現場では生々しい経過があったのだと思います。
私は確保の有無も、どういう態勢だったかも、事情がわかりません。順に支点をとりつつ、本人がへつるということと、落ちた場合、強く深い流れですから、上に吊り上げられない態勢ならば、下流側が大事な役目をするので、その態勢の問題がありうると思います。
あくまで一般論です。
慣れた人ならば、壁面に固定ボルトとワイヤーがあるので、短時間で越える場所です。
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