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前回１２月の暴風雨のときは、こう書きました。
＞北のシベリアまでは冬の寒気が迫っているのに、列島の周囲の海水温が異常に高い。この、あまりの落差が低気圧の異常な発達を後押ししているように、私には感じられます。
温度差、水蒸気量、気圧勾配・・・。大気がもつエネルギーが大きくなっています。温暖化が気象現象にもたらす基礎的な作用です。
今度のようなことがあると、「大雪が降るんだから、温暖化とは逆ではないか？」という受けとめが出かねません。でも、もともと温帯に位置する日本で、世界的にも有数の大量の積雪があることが、気温と降雪量の単純でない関係を物語っています。日本での積雪量は、より寒い北海道よりも、東北や北陸などの日本海側に集中しています。
今季２回めの暴風雪でしたが、この冬だけのことでないかもしれない。むしろこれから、温暖化による気候変動がゆっくりと進行するとともに、今回のような「大雪」は、繰り返されるかもしれません。
そして一方で、ひと冬を通してとか、１０年、５０年という、中・長期の時間のスケールで見ると、日本国内でも、降雪量は確実に減少し、温暖化はゆっくり進行しています。スキー場も、２０年前は年末から正月には２００センチ、３００センチの数値がザラでした。いまは、１００センチあれば上々。それも行ってみたら、その半分もない。近年は人工降雪機でやっと滑走可のところが普通です。
今回、福島県の国道４９号の車の通行止めでは、雪国の冬の峠越えにもかかわらず、ノーマルタイヤの車、大雪用のチェーンなしのトラックがずいぶん紛れ込んでいたそうです。
降って積って当たり前のルートでさえ、このごろはドライバーも、雪のない道に慣れてしまったということでしょうか。
私は福島県の出身ですが、戦前は（１９４５年以前）は福島市でも、一晩で太ももまでくるほどの積雪が、よくあったと、両親に聞かされてきました。ところが、そんな降雪を、私は一度も体験しないで育ちました。いまは、冬でも、福島市内は、田んぼでも雪がほとんど見られません。
それどころか、我が息子たちの世代は、正月を過ごす札幌で雪が少なくて、雪だるまやかまくらを作るのに苦労してきた体験がありました。
冬の気温も、実ははっきりと上昇している。そのもっと確実で、長期的な冬の気温の上昇の指標の一つに、諏訪湖の御神渡りの記録があります。
室町時代から550年以上も続く「世界最古級の気象記録」だそうです。
宮司さんによると、出現はこのところぐんと減っているとのこと。
以前は１０年に７年とか、９年とかの出現頻度だったものが、１９９０年から２０１０年までの２１年間では、出現は６年だけ。近年は出現するとむしろ珍しい事態になっています。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/z/25/
そういえば、「氷爆クイズ」（全面結氷日予測）で知られる、近所の奥多摩の払沢の滝も、この２０年間、全面結氷は２、３度だけ。ほとんどないです。ここでは、数年前に、クイズそのものが成り立たなくなって、やめてしまい、年中行事が一つ消えました。人の感じ方には、経験や認識からくる主観が入りますが、自然も、そして本来単純な物理法則も、きわめて正直に事態を告げているようです。
(写真は、守屋山からの諏訪湖。２００４年撮影。２月ですが、青い水面が出ています）
tanigawaさん あけましておめでとうございます。
年末寒波は 中国地方・九州では厳しかったです。
＞大雪が降るんだから、温暖化とは逆ではないか？」という受けとめがでかねません
おっしゃるとおりで 必ずこういうことを言い出す
（温暖化は存在しない）が出てくると思います。
例えば 中国地方のスキー場 今日あたりは１００ｃｍ
を越えてますが 寒暖の差が激しい近年では
季節はずれの暖かい日が数日続くと元々暖かいこの
地域では一気に溶けるはずです。
同じような話題で恐縮ですが「鳥取」での車の立ち往生
昔といっても２０年ぐらい前までは米子・松江・鳥取
あたりは積雪地帯だったので こんなことも
なかったと思いますが 近年積もらなくなってきたので
大変なことになりました。もちろんスタッドレスへの
過信 チェーンなし 雪がある地域でもないことに
慣れてきてるんでしょうね。
tanigawaさん、初めまして。
なかなか興味深い内容ですね。
確かに、日本海側の大雪は暖かい対馬海流と、シベリヤからの強くて冷たい季節風によってできる現象ですよね。
対馬海流の温度が上がれば、それだけ水蒸気になる量も多くなり積雪量が増えるという内容は確かにそうだと思います。
そして、今現在、地球温暖化が進んでいることもまた事実。
これは否定しようもないことかと思います。
ただ引っかかるのは、この先も地球の平均気温は上がり続けるのでしょうか？
一番の原因と考えられているのは二酸化炭素ですが、ここ数十年間の二酸化炭素量の排出量と地球の平均気温を比較すると、増減に関係がありませんでした。
要するに、地球温暖化は複数の要因が絡んだ複雑な現象だと思います。個人的に。
確か、研究者の中でも地球温暖化のメカニズムは明らかになっていなかったはず…。
いったいこの先、地球の気候はどうなってしまうんでしょうね？
そういえば最近の報告で、『後２・３年後に太陽活動が弱まり、プチ氷河期到来』なんて記事を読んだ記憶があります。１０数年間にわたる長いスパンで生じるようです。
もしかしたら、【地球温暖化】+【プチ氷河期】で昔の状態に戻ったりして…？
話が主題から外れてしまい申し訳ありません。
温暖化の話を見ると、必ず氷河期突入の記事を思い出してしまうので、ついついコメントしてみました。
個人的には、温暖化より寒冷化のほうが不気味です。
aotty
miccyanさん、今度の山陰の大雪では、お仕事も山も、ちょっとしたご苦労をされたのかなと思います。
でも、言われるように、今度の雪は一時的で、春の陽気はもうそこまで来ているように思いますよ。
昨日、１２月の全国各地の平均気温が発表されました。２回の暴風・大雨・大雪がこみこみで、史上最高の気温でした。関東甲信越がとくに高かったようです。
東京は、豪雪の元凶の日本海から、地形的にずっと遠いだけに、冬らしくない暖かさがとくに気にかかります。
私は２０年近く前から、奥多摩の入り口の扇状地に住んでいます。
以前は、サツマイモを１０月末に収穫しないと、霜にやられていました。銀杏の実も１０月末に拾いました。
今年、初霜は１２月の２０日すぎまで遅くなりました。トマトをそのあとも収穫してました。
銀杏の実は、１１月末以降に落ちだしたものの、葉は１２月半ばになっても残っていました。
暮れから正月の山は、みなさん稜線に上がるのを注意・敬遠された様子で、悪天候の割に遭難事故が少なく、幸いだったと思います。
miccyanさんも予想されていると思いますが、この冬の積雪もひと冬を通しては、かなり少ないと思います。その代わり、月に１回くらい、低気圧が異常に発達して、暴風雪（ときには大雨）に見舞われる、変な冬になると思います。
aottyさんへ
＞一番の原因と考えられているのは二酸化炭素ですが、ここ数十年間の二酸化炭素量の排出量と地球の平均気温を比較すると、増減に関係がありませんでした。
問題を考えるうえで、とても基本的なデータと思います。
数値とソースを教えていただけると、私も参考になります。
観測結果は、明快なものがさまざま出されていますし、継続的に観測が続けられています。
日本の気象庁も、次のデータを紹介しています。
//////////////////////////////
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html
2010年の世界の年平均気温（陸域における地表付近の気温と海面水温の平均）の平年差は+0.36℃（速報値）で、1891年の統計開始以降、2番目に高い値となりました。世界の年平均気温は、長期的には100年あたり約0.68℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています。
世界全体において平年差が大きかった年（1〜5位）
��1998年（+0.37℃）、
��2010年（+0.36℃）、
��2005年（+0.32℃）、
��2009年・2006年・2003年・2002年（+0.31℃）
/////////////////////////////////
上記で平年差というのは、おおよそ１９８０年当時の値との気温差です。
観測データがある１８９１年当時は、さらに０・６度ほどを、温度差に加算する必要があります。
私がこの１１９年間のうち、気温が高い方から並べなおした結果は、次の通りです。
平均気温が高かった年（１８９１年〜２０１０年）
1 1998年 0.37
2 2010年 0.36
3 2005年 0.32
4 2002年 0.31
5 2003年 0.31
6 2006年 0.31
7 2009年 0.31
8 2007年 0.28
9 2001年 0.27
10 2004年 0.27
11 1997年 0.24
12 2008年 0.2
13 1990年 0.19
14 1995年 0.16
15 1999年 0.15
16 2000年 0.15
17 1987年 0.14
18 1988年 0.12
19 1991年 0.12
20 1983年 0.09
一目瞭然で、高い気温を記録した年は、最近の２０年から３０年の範囲の年が集中しています。
とくに高い方から１０番目以内には、９つの年が２０００年以降です。残る１つも１９９８年。
二酸化炭素の排出量は、近年にいたるほど激増傾向を示しています。
もしも西暦年度がきれいにそろわないことをもって、相関しないと言っている方がおられるのならば、それは気候変動の本来の複雑さ、それがここまで相関することの怖さを、考えないものと言わざるをえません。本来、とことんランダムなはずで、そろってはならないはずのものが、これだけはっきりした傾向が出るから、危惧が広がっているわけです。
＞そういえば最近の報告で、『後２・３年後に太陽活動が弱まり、プチ氷河期到来』なんて記事を読んだ記憶があります。１０数年間にわたる長いスパンで生じるようです。
それは、ある新聞が大きく取り上げた報道で、私も読みました。
問題は、過去の太陽活動の弱まりに起因する「気温降下」の作用に比べて、いま直面している温暖化ガスの排出による「気温上昇」の作用が、ひとケタ以上、大きな効果をもつと見積もられていることです。
現に、平均気温の推移は明瞭です。
そして、もっと問題なのは、放置すれば４度、６度という平均気温の上昇は、２１世紀末の地球で、大きな確率で起こるということです。
さらに、数十年から１００年、２００年という時間のスケールでの気温の上昇や海面変動は、太陽や地球の運動もかかわる自然の気候変動での数万年、数十万年という時間のスケールに比べて、極端に速い猛スピードの現象であることです。
いまの二酸化炭素の大気中濃度は、すでに過去８０万年の最高濃度の水準をとうに超えて、上昇を続けています。この間には、約１０回の温暖期と氷河期があり、温暖期には関東平野では秩父盆地にまで、海が達していました。日本列島は別の外観を示していました。
気候変動は言われるように複雑ですが、現代の人類には知性も認識力もあります。対策も、いまやるべきことは明瞭です。
「温暖化ガスの人為的な排出による気候変動」。この未体験の現象のすごさ、怖さは、地球史の過去の同様の時代から考え直すことと、いまの被害と変化から類推することと、この２つしかアプローチがありません。
足場のしっかりした、手堅い研究・観測を基礎にして、豊かな想像力で立ち向かう。それが求められています。
今朝の日経新聞が社説で、次のようなことを書いています。
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http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E3E0E1E6E4E4E2E2E5E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
増える異常気象に備えを
2011/1/7付
「・・・こうした異常気象の原因を、地球温暖化のせいだと決めつけることはできない。しかし、大気中の温暖化ガスが増えて地球全体がゆっくり暖まる過程で、それまではめったに起きなかった極端な酷暑や寒波、豪雨などの回数が増す恐れがあると、多くの科学者が指摘してきた。
日本では、100年に１回程度と考えられてきた大洪水が30年に１度ほどの頻度で起きるとされる。私たちはこれから振れの大きい気候とのつきあいを覚悟せねばならない。」
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年末の大雪は、早めに警報が出され、天気図も尋常でない様相でしたから、登山者が気をつけて対応された様子で、例年よりは山の遭難も少なめでした。
今後も、「振れの大きい気候とのつきあい」という構えが大切になってくると思います。
同じテーマの範囲での新しい情報なので、新しい日記を立てずに、追加で補足していきます。
今朝、８日のＮＨＫ週刊ニュースで、山陰に降った雪が漁船の沈没や電柱の倒壊など、新しい形の被害を広げた原因を伝えていました。
水分を多く含んだ湿った雪が、短時間で降ったことが、原因したそうです。
お天気キャスターの南さんは、日本海をピンクに染めた画面を前に、「日本海の海水温が例年より一度、高い」ところに、大陸の寒気が押し寄せたことを、今回の大雪のしくみとしてあげていました。「このタイプの大雪は今後も続く」とのこと。
日本海の海水温の平年値自体が、近年は上がってきていますが、昨年夏の猛暑の名残があるのが、この冬の特徴だそうです。
一方、今年の世界的な大雪の原因である北極地域の寒気の温帯地域への流れ込みについては、北半球的なスケールで、大気の攪乱の大きさなどが検討されています。
残念なことですが、ネット上では、「地球温暖化否定」の立場から、今回の山陰の大雪などもかなりのサイトで、取り上げられています。
マスコミも、「寒波」「大雪」といい、気象庁も予報段階では相当な降雪量の予報を出したりします。
（警報的な役割があるため仕方ありませんが）
冬らしい気温になると、「寒波」と連呼している。
掘り下げた報道、そして、この雪の被害が私たちにどんな警鐘を鳴らしているのかについて、つっこんだ報道を期待したいところです。
温暖化の影響は、世界のどこの地域にも、それぞれに違う被害の姿をとって現れてきます。寒帯と温帯、大陸と海洋、寒流と暖流、険しい地形。 変化の激しい気候帯に位置する３０００キロの島弧である日本列島には、これからも意外な姿で、被害が現れると思います。
山の気象ではなおさら、と思います。
tanigawaさん、こんばんは。
前回コメントした件「二酸化炭素と気温の増減に関係無い」という部分のソースを確認しましたが、何せ本屋で立ち読みした情報だったので見つかりませんでした…。
申し訳ないです。
おそらく温暖化に対して懐疑論を唱えている人の書籍だったと思います。
いちお今回の件について改めて調べてみたので、調べた内容についてお知らせしておきます。
著書『一般気象学著者』（著者：小倉義光）の中では、二酸化炭素量と気温には強い相関があると述べており、続いて次のような記述を添えています。
「二酸化炭素は温室効果を持つ気体であり、二酸化炭素が増加すると気温が上昇することの証拠かもしれない。しかし逆に気温が上昇して海中に溶けていた二酸化炭素が空気中に移ったかもしれず、どちらが原因でどちらが結果なのか、まだ分かっていない」269ページより
だそうです。
ただ初版は1984年、私が持っている改訂版は1999年なのでここ10年間の研究結果については繁栄されていません。その後、進展があったかもしれません。
後もう一つネットを漁っていて見つけたものですが、リンクを貼っておきます。
http://env01.cool.ne.jp/ss02/ss023/ss0231.htm
一番初めのグラフに二酸化炭素量と気温の変動についてまとめられています。
このグラフが正しければ、地球温暖化の原因が二酸化炭素ではないということになりますが、どうやらこの学者の主張は気象学会から無視されているようです。理由は分かりません。（wikiより）
ここからは私個人の意見ですが、今起きている地球温暖化は事実だと思います。ただその原因が『温室効果ガス』だと決め付けたような今の論調には疑問を持っています。
もっと他に要因はあるのではないかと。
まだ解明されていない全地球規模の海洋の流れや、水蒸気による温室効果、太陽の活動、地球の公転、これまで起きた寒冷期・温暖期の原因など明らかになっていないことは他にもあります。
それに今の学術では数値計算の誤差が大きく解析モデルの向上と、スパコンのスペック向上も課題です。
これらが解決していない中で、『地球温暖化の原因は温室効果ガス』と決め付けている今の世論が怖いです。
今できることと言えば温室効果ガスの削減に勤めることだと思いますが、同時に他に要因は無いのかということにもスポットを当てて研究・報道を行って欲しいものです。
aottyさんへ。
資料の提示、ありがとうございます。
紹介された問題順に、私の意見を書きます。
（１）二酸化炭素濃度の上昇は、原因か結果か？
大気中の二酸化炭素の濃度の上昇が原因である場合は、平均気温とのあいだに、次のような関係が生ずると思います。
イ）大気中の二酸化炭素の濃度が高くなるほど、年毎の気温の上昇は次第に加速される。
ロ）その結果、近年にいたるほど高温となる。気候・気象の現象に起因する気温の年毎のバラツキが抑えられ、上昇傾向が基本の方向となる。
ハ）二酸化炭素の濃度は、気温の変動にかかわりなく、排出量の増加にともなって、一路、上昇する。（気温の微振動にかかわりなく上昇する。）
ニ）二酸化炭素濃度の上限も、氷河期の時代（現在の気象システムが成立後）が始まって以降の数十万年の上限値に制限されず、人為的排出行為のために、際限なく上昇する。（歴史的な上限値＝約３００ppmを乗り越える。）
示していただいたＵＲＬの資料は８０年代で途切れています。これでは、排出量の増大の影響が加味されていません。議論するうえでもっとも典型的な傾向が現れだした段階を除いたのでは、引用文献の論は足場がありません。
最近までのさらに十数年の激増のデータを加えてみれば、以上のイ、ロ、ハ、ニの４点は、すでに現実のものとなってきています。
この傾向が現れる段階（１９９０年代半ば）になったからこそ、温暖化問題はようやく原因を定めた議論ができるようになったわけです。
なお、二酸化炭素の濃度の上昇は現在は人為的な排出によるものですが、近い将来のある時点で、
Ａ）北極やシベリア地域の広大な永久凍土の融解（２０倍の温室効果をもつにメタンガスの大量排出）と、
Ｂ）海がある海水温とＰＨレベルに達した段階で、二酸化炭素を吸収することができず、さらには放出する可能性があることが、
ＩＰＣＣ第４次評価報告書などでも予測されています。
この段階では、地球の大気と気象現象そのものが、温暖化ガスと気温上昇の悪循環（後戻りができない）に達することになります。
逆に、気温の上昇が二酸化炭素濃度を上げているという立場を立証するには、次のことの証明が必要です。
ホ）二酸化炭素の濃度が、気温に原因して自然変動するのならば、その濃度は自然変動しなければならない。
ヘ）自然変動であるならば上限値も、歴史的な範囲に定まる。
気象現象をとらえる観測データは雄弁です。問題が鮮明になった１９９０年代以後、ホ、ヘは、たやすく打ち破られました。
そして年を経るごとに、問題はいよいよ鮮明になってきていると思います。
（末尾に、米国立オークリッジ研究所の情報分析センターのデータベースからとった、観測データを提示しておきます。）
（２）二酸化炭素原因説は、「決めつけ」なのか？
温暖化問題の原因と対策が定まってきた段階で、ニュースや情報に接するようになった世代の人と、私のように、まず炭酸ガスの大量排出への不安、動植物への影響への心配などから、原因が定まってゆく過程を見守ってきた世代とでは、受けとめ方がやや異なるのかも知れません。
よくぞここまで明確に、というのが、当時から見てきた私の感想です。「決めつけ」どころか、何もないところから、出発してきたのが、この問題です。
解明されていないことは、まだたくさんあります。とくに心配なのは、「後戻りができない地点」とはどのあたりなのか？ ということです。二酸化炭素濃度は、とっくにそのポイントを超えています。
基本的なことでわからないことがいっぱいあっても、ただ、それで行動することが間違いというふうには、決めつけられません。人間と人間社会は、大なり小なり、未解明の問題を残したまた、いまのベストを尽してきています。
宇宙全体の成り立ちというそもそも論が未解明でも、わかった範囲でおこなえる探索や平和利用が開かれています。
医学や農業だって、生命のそもそも論に未知の問題が大きくあるのに、ある知識を生かして、合理的にとりくんでいます。
気象だって、気候変動というスケールでは取り組み出したばかりですが、天気予報や地震、津波、それにもとづく警報などは、わかった範囲、確率の範囲で、誰もがそれを役立てて生きています。
基本だけでも全部押えて動くということで、良い場合と、間に合わない場合があります。そのときも、人間は、合理的に備えてきました。
なぜ、ここまで明確な兆候が出てきた温暖化問題で、効果がある対策をとれないのか？
アメリカや日本の後ろ向きの態度の背景には、大手企業の利益第一の考え方があります。政治にも、企業内の善意のとりくみにしても、むしろ圧迫をかけているのは、力をもっている場所にいる人々です。
今度のメキシコの国際会議には、経団連が監視団を派遣して、日本政府の言動を規制しました。
マスコミもまた、本来の報道を伝えていません。
ＮＨＫから温暖化問題の明快な番組が絶えて久しいのも、同じところに原因があります。
おなじ圧力の下、日本では出版状況も異常です。
私は、反温暖化の立場のもろもろの出版物を見る前に、その半分の時間でもいいですから、ＩＰＣＣの報告書など、世界の科学者の経験の集成を、まず生で、あなたに読んでほしいと思います。環境庁などのサイトに和訳版があります。
（３）スパコンについて
懐疑派の方がよく取り上げます。
コンピューターはそれ以上のものではありません。
だから、未来の予測被害などでは、１つの参考データにすぎません。
しかし、そのシュミレーションだから当てにならないと否定するのか。それとも、豪雨や旱魃の激化を、１つの情報として参考にし、現実の観測と体験からフィードバックするのかは、未来予測に天地の開きが出ます。
幸い、日本の高温化、多雨化の予測では、シュミレーションは非常に良い予測をたたきだしているし、幾つかの問題では予想を超えた自体がむしろ出現しています。
スパコン論１つをとっても、反温暖化の立場からの非難は、生産的ではありません。この件も、現場を知らずに非難する議論を見る、そのうち一部分の時間でもいいですから、現場の方の報告に接することです。幸い、日本が健闘し、日本語の本やレポートがたくさんあります。
以下の数値は、順に
西暦年、大気中の二酸化炭素濃度（ppm)、気温の偏差、二酸化炭素排出量。
（二酸化炭素排出量は、ハワイ・マウナロア山）
（気温の偏差は、下記の値に０・５度を加えると、１８９１年からの偏差がでる）
（二酸化炭素排出量の単位は、百万トン。炭素のみ）
1959,315.98,-0.14,2462
1960,316.91,-0.18,2577
1961,317.64,-0.09,2594
1962,318.45,-0.07,2700
1963,318.99,-0.04,2847
1965,320.04,-0.28,3145
1966,321.38,-0.21,3305
1967,322.16,-0.21,3411
1968,323.05,-0.23,3588
1969,324.63,-0.12,3800
1970,325.68,-0.15,4076
1971,326.32,-0.26,4230
1972,327.45,-0.14,4398
1973,329.68,-0.02,4634
1974,330.25,-0.29,4643
1975,331.15,-0.24,4614
1976,332.15,-0.33,4883
1977,333.9,-0.04,5021
1978,335.51,-0.13,5084
1979,336.85,-0.01,5367
1980,338.69,0.02,5316
1981,339.93,0.06,5151
1982,341.13,-0.06,5119
1983,342.78,0.09,5099
1984,344.42,-0.09,5283
1985,345.9,-0.1,5434
1986,347.15,-0.02,5603
1987,348.93,0.14,5747
1988,351.48,0.12,5960
1989,352.91,0.05,6081
1990,354.19,0.19,6149
1991,355.59,0.12,6241
1992,356.37,-0.02,6126
1993,357.04,0.01,6132
1994,358.89,0.08,6249
1995,360.88,0.16,6387
1996,362.64,0.06,6524
1997,363.76,0.24,6649
1998,366.63,0.37,6630
1999,368.31,0.15,6571
2000,369.48,0.15,6738
2001,371.02,0.27,6900
2002,373.1,0.31,6955
2003,375.64,0.31,7289
2004,377.38,0.27,7671
2005,379.67,0.32,7971
2006,381.84,0.31,8225
2007,383.55,0.28,8365
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