単独、あるいは、カミさんと2人で森へ入ることが多い。
きのこや、植物・山菜などの探索と撮影のときは、藪のなかで静かに時間をすごしたり、山道から外れて枝沢をたどったりします。
森の中で、ジバチの巣を熊がひっかきまわした場所にでくわしたこともありました。
「もう、鉈で熊と格闘できる体力はないのだから」、というカミさんの忠告があり、いろいろ考えて、熊避けスプレー(ヒグマ撃退スプレーとも呼称)を用意することにしました。
これまでは、「ツキノワグマだったら、鉈かナイフがあれば、けっこうケンカになるし、退散させてやる」なんて思ってきたのです。
それも山野井さんの奥多摩での事故で、ちょっと思いなおし始めていました。
去年、ヤマレコにアップされた、東北の山での格闘のレポートも、思い起こしながら。
私の場合は、きのこに見とれて注意散漫になるし、渓流釣りもする。北海道に行く機会もあり、用意しておいて安心できる場合が多いと思いました。
導入したのは「カウンター・アソールト」(Counter Assault)というスプレーで、唐辛子の成分が入っています。
「よいクマ わるいクマ」(萱野茂、前田菜穂子、2006年)という本を今回、参考にしました。
いちおう9mの距離まで放射することができますが、4、5mの至近距離に引きつけて使います。噴射は5秒前後で終わり。
スプレーが直撃すると、クマは苦しみ、逃げますが、双方、もっとも不幸なことは回避でき、クマにとっては人を恐れる本来の心理に回帰できます。
専用ホルダーで、危ういところでは腰に装着して行動。215グラムと軽い。
ただし、賞味期限(効果が確保される期間)は、3年間です。導入したスプレーは、2014年11月まで効果が維持できるとのこと。
今回、新しい認識になったのは次のことです。
1)出会いを未然に防ぐのが最良。熊は、高い周波数の音を嫌がる。熊鈴、鐘、ホイッスルなどは、高い音が出るものが効果がある。
2)危険に直面しても、あわてず、背を向けて逃げず、相手を興奮させない。
最後の手段としては格闘しなければいけないが、やむを得ずたたかう場合は、双方が助かる用意をするのが、ベター。
通常の登山道で、人もほどほどにいるコースなどでは、熊避けスプレーは不要ですから、状況とエリアに応じて用意していこうと思います。
使用体験のレビューなどは、書き込む機会がないことを祈っています。
明日は、上越のブナと根曲がり竹の森に入ります。
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次の日記もご覧ください。
ヒグマ撃退スプレーは効果があるのかな?
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-1420
熊避けスプレー、用意することにしました
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-20859
良いクマ、悪いクマと、人間との相互理解
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-23617
熊の世界に何が起こっているのだろう?
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-14120
会津美里町のツキノワグマ事件はちょっと気になる
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-52590
今年もそんな季節になりましたね。
熊には会いたくありません
寂しい山はことさら怖いです
citrusさんは、単独行動もされるし、熊との接近遭遇のスリルを体験しているから、鈴や声などで不意に会わない対策をいろいろとっておられると思います。
昨日は、山道から完全に外れるエリアへ入ったとこで、熊避けスプレーを腰に装着しました。何しろ、私たちが求める山菜は、熊にとってもこの時期の主要な食べものと重なるものがありますから。
鹿の群れが、食べたあとはありました。
スプレーの導入で一番、良かったのは、いらぬ不安が消えたことです。安心感があるので、自然にどっぷり漬かれます。
スプレーのホルダーは、腰のベルトに装着できるものです。
ホルダーはスプレー全体を包み込んでおり、マジックテープを引き上げて、スプレーを取り出します。3秒くらいかかる。
安全クリップを引きぬかないと、スプレーの発射ボタンを押せないため、行動中、転倒したくらいでは、作動はしません。
条件に合わせて、必要な時は携行しようと思います。
ウーム、毎度大変勉強になりますです。・・
dari88さん、熊対策は、ヤマレコでも話題になってきたことでした。私の場合も、いままでいろいろな対応を考えてきました。
熊に人の存在を知らせ、「よいクマ」ならば未然に身をひいてくれる、というのが、これまでも、これからも、一番の対処だと思います。
でも、このところ、本州でも、北海道でも、人間の生活空間と、熊の行動領域とを隔てる「間合い」が、失われかかっているような出来事が増えてきたように感じます。
「間合い」の一つは、空間的な緩衝地帯が、人間の側の生産活動の後退などで、失われてきているところが広がっていることです。
最近の熊は、えらい場所にも、どんどん出てきています。
もう一つは、エリアの問題ではなく、相互の影響し合い、ということです。
人と熊が接触する場合の、人間の側の出方が、以前とは違ってきている。
2つの間合いの両方にかかわる問題に、熊への狩猟圧が落ちてきていることがあると思います。
熊はかなり増えてきているし、熊の生活体験のなかで人間を恐れる経験をすることが減っている。
それでいて、一方では、まったく別の背景として、以前に私が日記に書いた、次のような問題もすすんでいます。
熊の世界に何が起こっているのだろう?
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-14120
熊の環境とブナ林の未来。奥多摩の場合
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-16873
まあ、考えれば、自分一人では何事もできない、いろいろなことが進んでいますが、幸か不幸か、出会うことになってしまった熊には、ベストを尽くして対抗し、人間の怖さを存分に知る「よいクマ」になる協力をしたいと思います。
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