ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 87097
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲信越

テン泊17日:北アルプス、上高地から白馬まで、槍、穂高、裏銀座、後立山連峰ぶらぶら山旅

2009年08月07日(金) 〜 2009年08月23日(日)
 - 拍手
GPS
382:00
距離
110km
登り
9,781m
下り
9,814m

コースタイム

8月7日(金)
=====上高地→横尾 =====
12:30 上高地バスターミナル
16:00 横尾山荘テント泊(1泊目)
8月8日(土)
=====横尾→涸沢 =====
5:00 横尾山荘テント場出発
6:10 本谷橋
8:00 涸沢キャンプ場テント泊(2泊目)
8月9日(日)
=====涸沢→穂高岳山荘 =====
6:30 涸沢キャンプ場出発
   ザイテングラード
9:00 穂高岳山荘テント泊(3泊目)
8月10日(月)
=====停滞 =====
   雨で穂高岳山荘テント場に連泊(4泊目)
8月11日(火)
=====穂高岳山荘→南岳小屋 =====
4:30 穂高岳山荘テント場出発
5:00 涸沢岳
7:50 北穂高岳
9:50 長谷川ピーク
12:30 南岳小屋テント泊(5泊目)
8月12日(水)
=====南岳小屋→双六小屋 =====
4:30 南岳小屋テント場出発
5:10 南岳
6:30 中岳
7:15 大喰岳
7:50 槍ヶ岳山荘
8:15 槍ヶ岳
9:30 千丈沢乗越
10:50 左俣岳
13:10 樅沢岳
13:40 双六小屋着テント泊(6泊目)
8月13日(木)
=====停滞 =====
   雨で双六小屋テント場に連泊(7泊目)
8月14日(金)
=====双六小屋→三俣山荘 =====
4:45 双六小屋出発
6:00 双六岳
7:00 三俣蓮華岳
7:30 三俣山荘
11:00 祖父岳
12:00 岩苔乗越
13:00 黒部源流標
14:00 三俣山荘着テント泊(8泊目)
8月15日(土)
=====三俣山荘→烏帽子小屋 =====
4:50 三俣山荘出発
6:10 鷲羽岳
7:40 水晶小屋
9:40 真砂岳
10:30 野口五郎岳
13:40 烏帽子小屋着テント泊(9泊目)
8月16日(日)
=====烏帽子小屋→船窪キャンプ場 =====
4:30 烏帽子小屋出発
6:00 南沢岳
7:30 不動岳
9:50 船窪岳第二ピーク
12:10 船窪キャンプ場着テント泊(10泊目)
8月17日(月)
=====船窪キャンプ場→針ノ木小屋 =====
4:30 船窪キャンプ場出発
6:50 北葛岳
10:00 蓮華岳
11:40 針ノ木小屋着テント泊(11泊目)
8月18日(火)
=====針ノ木小屋→冷池山荘 =====
4:30 針ノ木小屋出発
5:30 針ノ木岳
6:30 スバリ岳
8:05 赤沢岳
9:10 鳴沢岳
9:50 新越山荘
10:35 岩小屋沢岳
12:00 種池山荘
13:10 爺ヶ岳
14:30 冷池山荘着テント泊(12泊目)
8月19日(水)
=====冷池山荘→五竜山荘 =====
4:20 冷池山荘テント場出発
5:10 布引山
6:20 鹿島槍ヶ岳
7:45 キレット小屋
9:00 口ノ沢のコル
11:40 五竜岳
12:30 五竜山荘着テント泊(13泊目)
8月20日(木)
=====五竜山荘→天狗山荘 =====
5:20 五竜山荘出発
7:30 唐松岳頂上山荘
8:00 唐松岳
10:00 不帰キレット
11:50 天狗ノ頭
12:10 天狗山荘着テント泊(14泊目)
8月21日(金)
=====天狗山荘→白馬頂上宿舎 =====
5:50 天狗山荘出発
6:50 鑓ヶ岳
7:30 杓子岳
8:30 白馬岳頂上宿舎着(15泊目)
8月22日(土)
=====白馬頂上宿舎→蓮華の森キャンプ場 =====
6:40 白馬岳頂上宿舎出発
7:00 白馬岳
7:20 三国境
8:00 小蓮華岳
9:30 白馬大池
12:30 蓮華温泉
13:00 蓮華の森キャンプ場テント泊(16日目)
8月23日(日)
=====蓮華の森キャンプ場→蓮華温泉 =====
9:30 蓮華の森キャンプ場出発
10:00 蓮華温泉バス停
   バスにて平岩駅へ
天候 8月7日 雨
8月8日 曇り一時雨
8月9日 雨、時々曇り、ガス
8月10日 雨
8月11日 晴れ
8月12日 晴れ、一時曇り
8月13日 雨
8月14日 晴れ
8月15日 晴れ
8月16日 晴れ
8月17日 晴れ
8月18日 晴れ
8月19日 晴れ、のち曇り
8月20日 晴れ
8月21日 大雨
8月22日 晴れ
8月23日 晴れ
過去天気図(気象庁) 2009年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往路
JR東 東京→松本
松本電鉄 松本→新島々
松本電鉄バス 新島々→上高地

復路
糸魚川バス 蓮華温泉→平岩駅
JR西 平岩→南小谷
JR東 南小谷→松本→東京
コース状況/
危険箇所等
8月8日の時点で涸沢手前の登山道にはまだ雪渓が残っていた。

「山と高原地図」には、烏帽子小屋に水場のマークついてるが、水場はなし。
烏帽子小屋で天水を1L=200円で販売している。

不動岳〜船窪岳間は稜線上の崩壊箇所が何カ所かある。要注意!

上高地バスターミナル
到着したら、ドタドタの大雨!
勘弁してちょ〜だい・・・
上高地バスターミナル
到着したら、ドタドタの大雨!
勘弁してちょ〜だい・・・
河童橋
観光客もみんな傘さしてウロウロ・・・
河童橋
観光客もみんな傘さしてウロウロ・・・
横尾山荘テント場
夕方、少し雨が止む
横尾山荘テント場
夕方、少し雨が止む
涸沢手前の登山道にはまだ雪渓が残っていた
涸沢手前の登山道にはまだ雪渓が残っていた
涸沢ヒュッテからキャンプ場全景
涸沢ヒュッテからキャンプ場全景
ザイテングラードからの前穂高岳
かっこいいよな・・・
ザイテングラードからの前穂高岳
かっこいいよな・・・
ザイテングラードからの常念岳
ザイテングラードからの常念岳
常念岳の向こうから登る朝日。
最高に綺麗だった。
1
常念岳の向こうから登る朝日。
最高に綺麗だった。
朝焼けの奥穂高岳。
涸沢岳山頂から。
やけに赤く焼けると思っていたら、この後ちょっと大きな地震があって、落石がガラガラと落ちていったのには、ちとビビった。
朝焼けの奥穂高岳。
涸沢岳山頂から。
やけに赤く焼けると思っていたら、この後ちょっと大きな地震があって、落石がガラガラと落ちていったのには、ちとビビった。
槍ヶ岳遠望
北穂高岳から槍ヶ岳。
手前に落ち込んでいる稜線が大キレット。
やっぱ大キレットの縦走はキツかった!!!
1
北穂高岳から槍ヶ岳。
手前に落ち込んでいる稜線が大キレット。
やっぱ大キレットの縦走はキツかった!!!
快晴の穂高連峰
長谷川ピーク
シシバナのハシゴ。
この少し先で、NHKの撮影クルーを5、6人ひきつれて縦走していた田部井淳子さんとすれ違った。
後で番組を見たが残念ながら、自分は写ってなかった。(笑)
シシバナのハシゴ。
この少し先で、NHKの撮影クルーを5、6人ひきつれて縦走していた田部井淳子さんとすれ違った。
後で番組を見たが残念ながら、自分は写ってなかった。(笑)
矢印のところに北穂高岳小屋がある。
よくこんなところに建てたもんだ、と感心する。
それに、ここに小屋を建てようとした発想もすごい!
矢印のところに北穂高岳小屋がある。
よくこんなところに建てたもんだ、と感心する。
それに、ここに小屋を建てようとした発想もすごい!
南岳小屋テント場。
奥に槍ヶ岳が少し顔を出している
南岳小屋テント場。
奥に槍ヶ岳が少し顔を出している
笠ヶ岳の脇に沈んでいく夕陽
1
笠ヶ岳の脇に沈んでいく夕陽
大喰岳からの槍
槍ヶ岳山荘がまるで、チベットやラサの寺院に見えてくる
槍ヶ岳山荘がまるで、チベットやラサの寺院に見えてくる
鑓の頂上から見る笠が岳
鑓の頂上から見る笠が岳
槍ヶ岳山頂の祠
槍ヶ岳山頂から穂高連峰
1
槍ヶ岳山頂から穂高連峰
北鎌尾根。
双六池からみる、テント場と双六小屋
双六池からみる、テント場と双六小屋
自作テント!
軽量化の極致を目指しているらしい。
素晴らしい!
1
自作テント!
軽量化の極致を目指しているらしい。
素晴らしい!
常念山脈から昇る日の出。
常念山脈から昇る日の出。
双六への道。
槍ヶ岳をバックに佇む登山者。
ちと、お気に入りの写真。
1
槍ヶ岳をバックに佇む登山者。
ちと、お気に入りの写真。
双六山頂から黒部五郎岳。
双六山頂から黒部五郎岳。
真ん中の三俣蓮華を挟んで、
左に薬師岳、右に水晶、鷲羽。
真ん中の三俣蓮華を挟んで、
左に薬師岳、右に水晶、鷲羽。
三俣蓮華山頂から黒部五郎
三俣蓮華山頂から黒部五郎
三俣蓮華山頂から鷲羽岳
三俣蓮華山頂から鷲羽岳
鷲羽岳と三俣山荘。
鷲羽岳と三俣山荘。
黒部五郎岳
山の名前を入れてみた。
山の名前を入れてみた。
三俣山荘。
三俣山荘から見る槍ヶ岳。
三俣山荘から見る槍ヶ岳。
雲の平、祖父岳
雲ノ平から見る薬師岳
雲ノ平から見る薬師岳
雲ノ平から笠が岳
1
雲ノ平から笠が岳
祖父岳から見る水晶岳
祖父岳から見る水晶岳
槍ヶ岳の夕映え。
三俣山荘より。
槍ヶ岳の夕映え。
三俣山荘より。
鷲羽池と槍ヶ岳。
鷲羽池と槍ヶ岳。
左側に槍ヶ岳、右側に笠が岳。
真ん中奥が乗鞍岳
左側に槍ヶ岳、右側に笠が岳。
真ん中奥が乗鞍岳
鷲羽岳山頂から槍ヶ岳。
鷲羽岳山頂から槍ヶ岳。
ワリモ岳側からの鷲羽岳
ワリモ岳側からの鷲羽岳
水晶小屋方面から見た、鷲羽岳
水晶小屋方面から見た、鷲羽岳
野口五郎への登り。
野口五郎への登り。
野口五郎岳
野口五郎小屋。
まるで宇宙基地のよう。
野口五郎小屋。
まるで宇宙基地のよう。
烏帽子岳
北葛岳。後に見えるのは、
左側に針ノ木岳、右側に蓮華岳
北葛岳。後に見えるのは、
左側に針ノ木岳、右側に蓮華岳
針ノ木岳
コマクサ
蓮華岳の横から昇る朝日
蓮華岳の横から昇る朝日
針ノ木岳山頂。
ここまで来ると白馬がはっきり見えてくる。
針ノ木岳山頂。
ここまで来ると白馬がはっきり見えてくる。
針ノ木岳。
けっこうかっこいいんだよな・・・
針ノ木岳。
けっこうかっこいいんだよな・・・
岩小屋沢岳からみる、剱岳。
岩小屋沢岳からみる、剱岳。
冷池山荘テント場。
稜線上にあり、景色は抜群!
冷池山荘テント場。
稜線上にあり、景色は抜群!
八峰キレット小屋。
八峰キレット小屋。
鹿島槍。
五竜岳と五竜山荘
五竜岳と五竜山荘
涸沢岳頂上山荘。
後に見えてるのが白馬鑓と白馬岳
涸沢岳頂上山荘。
後に見えてるのが白馬鑓と白馬岳
唐松岳頂上山荘から見る、唐松岳。
唐松岳頂上山荘から見る、唐松岳。
唐松岳山頂から、立山連峰、剣岳。
唐松岳山頂から、立山連峰、剣岳。
天狗ノ大下り
立山連峰、剣岳が間近に見える。
立山連峰、剣岳が間近に見える。
真ん中唐松岳、右側に少し霞んでいるのが五竜岳
真ん中唐松岳、右側に少し霞んでいるのが五竜岳
天狗尾根。
天狗ノ頭から南側を見ると、北アルプス全体がほとんど見渡せる。
右側に剱・立山、左側に鹿島槍からウラ銀座の山並み。
まさに絶景!
天狗ノ頭から南側を見ると、北アルプス全体がほとんど見渡せる。
右側に剱・立山、左側に鹿島槍からウラ銀座の山並み。
まさに絶景!
天狗平から白馬鑓ヶ岳。
右前方に我がテント。
天狗平から白馬鑓ヶ岳。
右前方に我がテント。
天狗山荘水場。
水場で足を洗っているのは、
スカイハイマウンテンワークスのオーナー北野さん。
上高地からここ天狗平まで4日で駈けてきたとのこと。
すごい!!!
天狗山荘水場。
水場で足を洗っているのは、
スカイハイマウンテンワークスのオーナー北野さん。
上高地からここ天狗平まで4日で駈けてきたとのこと。
すごい!!!
白馬岳頂上宿舎と杓子岳、鑓ヶ岳
白馬岳頂上宿舎と杓子岳、鑓ヶ岳
白馬山荘。
まるで白馬岳を守る要塞か城壁のよう
白馬山荘。
まるで白馬岳を守る要塞か城壁のよう
杓子岳、鑓ヶ岳
白馬岳山頂から、妙高、火打を望む。
雨上がりの雲間から射す光が素晴らしかった。
白馬岳山頂から、妙高、火打を望む。
雨上がりの雲間から射す光が素晴らしかった。
白馬三山。
白馬大池と後に妙高。
白馬大池と後に妙高。
白馬大池。
白馬大池テント場。
運動場のようにだだっ広い。
白馬大池テント場。
運動場のようにだだっ広い。
蓮華温泉。蓮華七湯の一つ、「仙気の湯」
お湯も良いし、景色も絶景!
蓮華温泉。蓮華七湯の一つ、「仙気の湯」
お湯も良いし、景色も絶景!
蓮華温泉ロッジ
大糸線、平岩駅。
単線、無人でローカル感たっぷり。
大糸線、平岩駅。
単線、無人でローカル感たっぷり。

感想

今回、目標は上高地から日本海、親不知までだったのだが、残念ながら途中白馬で挫折してしまった。
その理由は、天気とか事故というような止むをえない障害でもなんでもなく、白馬で「ちと、温泉に浸かって温まってから最後の栂海新道を下ろう」と思って蓮華温泉に一度下って温泉に浸かったら、急に里心がついて帰りたくなり、戦意喪失して、そのままバスに乗って帰ってしまった、という実に単純なものだった。
まったく、我ながら、とほほ・・・な理由だと思う。
「上高地から日本海まで縦走」というのと「上高地から白馬まで縦走」では、実際の日程は2,3日の差で大した違いはないのだが、その印象はだいぶ違う。前者は完全縦走だが、後者はちと中途半端な印象である。
ま、この中途半端さも、自分の性格や人生そのもので、それが結果なのだから致し方ないのだろう。完全縦走はまたの機会に再チャレンジしようと思う。

以下、長々と今回の記録。

8月7日(金)
東京を始発の山手線と中央線を乗り継いでまずは高尾まで。着くのが5:57。
高尾から、6:14発の中央本線松本行き鈍行に乗る。松本着9:50。
約3時間半の鈍行列車の旅。昔から鈍行でのんびり旅するのが大好き。
10:08発松本電鉄上高地線で新島々に向かう。10:38新島々着。
今度は10:55発のアルピコマークの松本電鉄の上高地行きバスに乗り換えて上高地へ。ようやく着くのが12:00。
そして苦労して辿りついたら土砂降りの雨!泣きたくなった。が、しょうがない雨具を着こんで12:30、いやいやながら雨の中を出発する。
どこまで行けるか?取りあえず気力の続くところまで・・
16:00なんとか横尾山荘に辿りつく。もはやここまで、もう無理!
小雨の中、一泊目のテントを張る。
雨具を着ていても、3時間以上も雨の中を歩くと内も外も結局はビチョビチョ。靴も中の靴下までグチョグチョ、気持ち悪〜・・・
横尾山荘の外来食堂の片隅を借りて一生懸命拭いて乾かそうとするがそんなに簡単に乾くものではない。
初っ端の出だしがこれでちょっと気分が落ち込んだ・・・
8月8日(土)
朝5:00準備を終えてテントも畳んで出発。天気は曇りながら何とか持っている。8:00涸沢に到着。昨年秋以来、知ってる場所だけに懐かしい。山の中腹から上にかかっているガスを見て、今日中の穂高山荘への登頂諦める。早速テント張る。
張り終わってゆっくりしていると9:30頃には天気が少し回復してきて、薄日も射してたまに涸沢槍も見えるようになってきた。あまりに軟弱過ぎたか・・・
明日は行けても穂高山荘まで。天気もなんだか変り映えせず、曇りかガスが続きそう。雨や風にならないだけマシか・・・・。涸沢はテント場の真ん中の道から上の方はまだ雪渓に覆われていて、スペースも昨年秋の半分しかない。そう言えば、来る途中も雪渓を2カ所横切ったっけ。やはり軽アイゼンは必需なのか・・・。
昼前には薄日が射してくるほど天気も回復してきたので、昨日のぬれモノをすべて広げて乾かす。
16:00頃から再び大粒の雨が降り出し、せっかく乾いたテントもまたぬれてしまった。やることもないので、ヒュッテや小屋を水汲みに行ったりトイレに行ったりブラブラ散歩。それでも時間余って持ってきた文庫本を読む。
8月9日(日)
昨夜半づっと雨。未明には一度上がったが、5:00過ぎ再び雨。ちと気分が萎える。はてどうするか?周りの登山客はけっこうまじめに雨の中テント畳んで行動している・・・みんなスゴイよ。とりあえず様子見。少し風も出てきた様子。上の稜線はもっと強く吹いているのだろう。なんか悪い方に向かっているのか・・・ちと挫け気味・・・
やることもないので何時でも出られるようにチンタラ準備だけはする。
6:00過ぎ雨が止む。先の事はわからないが、とりあえず、6:30出発してみる。他の登山者もけっこう歩いている。
ザイテングラードの手前でやはり雨になる。ただそんなに強くはない。その後も降ったり止んだりが続く。なんとか持ってくれるように祈るが、小屋手前15分ぐらいのところで完全にガスと本降りの雨。
9:00ようやく到着。けっこうバテてる。たかが2:30の登りでこんなにバテるようでは先が思いやられる・・・
まずはテントを張る。小屋に一番近い場所が空いていた。
10:00になっても周りはガスでほとんど見通しがきかない。天気良ければ空身で奥穂でも、と思っていたがまったく動く気にならない。
12:00になってもガスは晴れず、小雨が続く。奥穂の小屋は抜群に居やすい。中で煙草は吸えるし、ストーブの前に座っていても追い出されることもない。
昨年はどうだったか覚えてないが、パソコンがあり、NETが繋がっていて、ウエザーニュースやTenki.jpが見れる。まったく家にいるのと同じ情報がみれるのはありがたい。ただ、天気を見ると明日もあまりよくなさそうで、悪い方向へ向かっていそう。明日はここで停滞か・・・ちと覚悟きめる。
しかし、さすがシーズンの日曜。次々登山客が登ってきたり下りていったりしている。
週間予報だと13日頃に次の前線の通過がありまた天気荒れそうとのこと。どこで避難停滞するか・・・双六か?三俣蓮華か?明日は槍は無理としても南岳小屋くらいまでは行きたいのだが・・・
18:00再び雨。風も若干出来た様子。
天気予報も悪い方へ変っていて、明日は大雨だそうだ。ついでに雷も鳴るらしい。やべーよ。
完全に停滞か・・・それもテントの中・・・このテントがどのくらいの風雨に耐えられるのか?帰ったら登山用品やで聞いてみなくては・・・・
19:00過ぎから強風が吹き始める。テントがバタバタ揺れ風が鳴っている。一応石は多めに積んで止めてあるが、ちと心配。でも、もっと風を受けているテントがもっと一杯ありそうで、自分が一番でないことだけは確か。
強風になびいてバタバタ煽られているテントなど楽しいものではない・・
8月10日(月)
一晩中テントが吹き飛ばされるかと心配するくらいの強風と雨が吹き荒れる。バタバタ揺れてしなるテントはとても心地よいゆりかごとは思えない。1,2時間おきに目が覚める。そのうち慣れてくるとはいうものの外の張り綱の様子も心配。テント自体の耐久性の問題も不明・・・など寝ぼけた頭で漠然と考えてしまう。
朝4:00過ぎに風は若干収ってきたようにもみえるが雨は相変わらず降り続いている。風は突然塊のように来て一気にテントを揺らす。ただ、その塊の来る間隔が段々開いていくようで雰囲気的に峠を越えたのがわかる気がする。テントは斜面側は風でフライが完全に張り付いてしまって透湿効果がほとんどなくなっていて、結露がべっちゃりで煽られるたびに水滴がパラパラ落ちてきて、寝袋など濡らす。やはりシュラフカバーも必需品なのか・・・?ただ、他の山側など風の当たらない他の3面はさすが一応ゴア+フライでほとんど大丈夫。とりあえずこまめに拭いて凌ぐ。
5:00過ぎ、この雨の中を小屋から数人下山していく団体がいる。大したもんだと感心する。中高年登山者の元気さ、タフさにはおそれいる。その後もぽつぽつ下っていく登山者がけっこういる。
天気予報は増々大雨の予想。完全に停滞。テントを畳む気などさらさら起こらない。しかし、まぁそれなりに使えるテントではある。嵐や強風の時などは小さい方が凌ぎやすいのかも。
明日の天気は一応晴れの予想だが、これではまったくあてにはならんだろうと思う。なんだか台風が来ているなんていう話しもあるし・・・。
小屋とテントを往復しながらひがな時間潰す。小屋はけっこう登山客の出入りが多く、ぼーっと見ていてもけっこう時間潰れる。
夕方雨も上がり、一瞬だが、笠ヶ岳の方に夕焼けが見える。明日天気よければよいが・・・
8月11日(火)
朝3:00起きる。4:20朝食喰って、テント畳んでそそくさと出発。北穂までは昨年一度行っているので様子わかるが、その先の大キレットはちと心配。ヘッドライトでヒーヒー言いながら涸沢岳に登る。この程度の登りで息切れているようでは先行きやばいよな・・・
天気は昨日と打って変わって快晴、無風のベストコンデション。なんとか涸沢岳山頂に到着。東の彼方に煙たなびく浅間山が見えて懐かしく思う。5:00過ぎ山頂で日の出を見ていると突然の地震!たまげた。奥穂の裏側でガラガラ・・・と落石も起こった様子。こえぇ〜!そう言えば朝焼けの雲がやけに赤かった。
北穂まで、昨年通っているので何となく様子は覚えているが、それでもテントなど荷物が20kgぐらい重いとやはりキツイ。ハシゴ、鎖で荷物が振られる。腕の握りが痺れて弱くなっていくのがわかる。ちとやべ〜よな。それでもなんとかコースタイムで到着したが、既にバテバテ。槍などとても無理!南岳までなんとか行こう、と踏ん張る。
天気は最高に良く、北穂山頂で休みも兼ねてデジカメを撮りまくり。途中、朝水入れて作っておいた弁当を食べ、ブドウ糖やらファミリードーナツやらちょこちょこ喰うがすぐに又腹が減る。
北穂からの大キレットはスケールが大きい分、ビビルところも何カ所かあった。足だけでなく腕も相当疲れる。一度岩場で一回転して尻餅ついたが場所が悪ければそのまま滑落していたかも。疲れと共に段々踏ん張りが効かなくなるのが実感できるのが余計恐い。
ペースも段々落ちてきているが、南岳までならまだ時間的余裕は十分ありそう。長谷川ピークに着いたときは既にコースタイムも軽くオーバー。体力、脚力のなさを増々実感。
南岳小屋に着いたのは12:35。コースタイムなら11:30頃に着いているはず。軽く1:00オーバーは情けない。途中からは写真すら撮る余裕も無くなっていた。まいった!
途中NHKのクルーとすれ違う。9/23放送の田部井淳子の北アルプス縦走番組の撮影だそうだ。ガイド2人がぶっといロープで田部井さんを引っ張っていてもろ安全第一の様子。親子3人連れの子供にインタビューしていた。その後にいたので、もしかしたら映っているかも・・・と思ったが、まったく入ってないかった。
インタビューされた女の子は10歳で大キレット縦走だと!恐れ入った。
ようやく南岳のテント場に到着。思った以上にテントが張ってあった。早めについて、石の防風壁の陰にテント張れて正解だった気がした。
疲れてヘロヘロでテント張るのもしんどい。背中も異常に痛い。担ぎ方悪かったのか・・・
明日はせめて双六まで・・・7,8時間大丈夫か、心配になる・・・
15:00過ぎガスが上がり始めたが夕方再び晴れて夕日が雲海の向こうに見えた。
8月12日(水)
3:00起き、4:30出発。天気快晴!若干風はあるが、昨日よりいいくらい。南岳山頂で日の出を見る。ふとももがパンパンでほとんどしゃがめない。昨日の大キレットはやっぱ相当きつかったのだろう。
中岳の水場がまったくわからない。結局過ぎてしまった。後で聞いたら、涸れていたとのこと。水の補給が出来なかったのは痛い。
何とか7:50槍に着く。ほぼコースタイム。疲れが心配でどうしようかまよったが、この天気ですいている槍に登らなければ絶対後悔する、と思い空身で一気に登る。やはり空身なら20分もかからないで登れてしまう。
登って正解!360度の眺望は最高。この先の西鎌尾根、鹿島槍なども全部見渡せる。写真撮ってそそくさと下りる。
水が心配なので、槍ヶ岳山荘の天水を500cc100円で補給。大して美味い水ではないがしかたない。
初めての西鎌尾根はそこそこアップダウンもあり、けっこうしんどい。11:00頃から突然ガスが上がってきて視界が遮られ霧雨などもぱらつく。山の天気の変わり身の速さをつくづく思い知る。ガスるとやはりけっこう寒い。対向者も何人かいたが、静かな山歩き。ガスの中、何度もピークが浮かび上がるがなかなかたどり着かない。樅沢岳まで来たときはほっとした。
双六に着いたのはコースタイム30分オーバー。途中で飯喰ったり、写真撮ったとは言え、やはりもう少し頑張らないと・・・と思った。
ガスと霧でしっぽり濡れて休んでいると結構冷える。テント場は結構広いが鞍の底部の吹きっさらし。大丈夫なんか?と思ってしまう。
水場は小屋の前にあり、テント場からは少し離れているが、それでもあるとないとでは大違い!助かるし嬉しい。水も冷たくて美味い。
明日もまた天気は悪そうだが、三俣蓮華小屋まで3時間ぐらいは前進したいと思う。8月の一番暑い時期のはずなのだがガスで日が射さず風があるとけっこう寒い。
18:00過ぎやはり雨が降ってきた。風も強くなってきて吹きっさらしは快適なテント場とは思えない。イメージ的に何泊も連泊するような場所でもないかも、と思ってしまう。天気よければまた雰囲気違うのかもしれないが・・・
超軽量自作テントのおじさんがいた。少し話したがけっこう面白いキャラだった。剱沢から4日でここまで来た、との事。一日12時間歩くのだそうだ。すごい!
テントは業務用建材の透湿防水シートを利用して自分でミシンで縫ったそうな。ストック2本交差させてそれなりに自立している。器用そうなおじさんだった。ちゃんとジッパーや覗き窓なども着いている。いつも実験の縦走がポリシーだそうだ。テントは既に5張りも持っているとのこと。他に、ガスバーナー、アルコールコンロなども自作して持ってきていた。シュラフは持たず、シュラフカバーだけで寝ているなど色々軽量化を図っているようだった。
夜中の大雨と強風でどうなったのか?翌る日にはテント無くなっていたから無事旅立ったのだろう。
いくら軽量化と言ってもあまりに居住性が悪い悲惨な状態や不安はちと遠慮したい。
8月13日(木)
昨晩12:00過ぎから雨、風一段と強まり、3:00頃には大雨の様相。天気予報はやっぱりあたらん。諦めて朝寝。風は吹き続き、雨も断続的続きまったく止む気配がない。
8:00過ぎにはさすが目が覚める。外を覗くとそれでもこの大雨の中テントの数がだいぶ減っている。みんなすごい!改めて感心する。
しかし、この数日の雨、風を経験すると、このテント+フライの防水性、防風性に改めてありがたさを感じる。やはり、こんな停滞したときなどにはある程度のテントの居住性の必要を痛感する。
5:30一時雨が止むが、それもつかの間。再び降り出し7:00近くなっても雨はまだ止まない。
まったくよく降るよ。
8月14日(金)
昨日の雨もすっかり上がり、4:30テントを畳む為に外に出ると星空にオリオンが輝いていた。風も収り昨日の大荒れがウソのよう。
4:45薄明かりの中出発。三俣蓮華小屋への巻き道分岐付近で日の出。雲海の上。昨日までの太ももの張りはだいぶよくなったもののまだ少し残っている。が、けっこうスタスタ登れた。
双六はずんぐりしたザラ場の山でガスっていたら本当に迷子になりそうな感じだった。ただ天気最高によく頂上まではっきり見渡せるのでその心配もなく気楽に登れた。裏側から見る槍はまたそれなりにかっこいい。
順調に進んで7:30三俣蓮華小屋のキャンプ場に到着。小屋からは少し離れていた。天気は最高にいい。一度張ったテントを張ってから場所がきにいらなくなり移動したのだが、一時間近く手間がかかってしまった。最初に場所の選別をちゃんとしなければ!という教訓。
9:30雲ノ平探索に出かける。昼飯を用意してなかったのは失敗。今、恐いのはシャリバテ!一週間も経つと食べても食べても直ぐ腹が減る。
雲ノ平はちらほら高山植物も咲いていたが、花が多いと言うことは虫も多い。止まっていると直ぐにブヨ(?)がうじゃっと寄ってくる。刺すわけでもなく何もしないが、それでもウザイ。落ち着けない。ほとんど休まずに日本庭園から祖父岳を廻って岩苔乗越に下り黒部源流の碑を周ってテントに戻る。
珍しく5:30過ぎても快晴の完全な夏空。めちゃ陽射しが強くて暑い。小屋の前から見える槍が夕日で赤く染まるのを期待したが、それほどでもなかった。しかし、ロケーションは抜群の山小屋。14日の金曜。お盆真っ盛り。さすがキャンパーも多い。上高地あたりこの土日は相当な人だろうと思う。
今日で一週間経過だがちと進みが悪いか・・・。
明日からやっと2枚目の地図「鹿島槍・五竜岳」に入れる。
三俣山荘に来て、オーナーの伊藤正一さんの「黒部の山賊」を読んでみたくなった。
8月15日(土)
4:50出発。今日一発目の勝負、鷲羽の登り!朝はまだパワーがある。けっこうそれなりに登れた。水晶小屋まで順調に進む。水晶岳はパスして、ウラ銀座を先へ進む。
野口五郎あたりでだいぶペースが落ちて、休む間隔も短くなってくる。天気は良すぎで日差しが強くまったく暑い!バテバテ。それでも烏帽子になんとかたどり着く野口からコースタイム2:30のところ3:00以上かかってしまった。
登山道は裏銀座というだけあって眺めは最高によかった。迷うようなところもなく、荷物さえ軽ければ最高の縦走だろう。天気も良かったし。
夕方から曇り始め夜には雨もぱらついてきた。
明日の天気がまた心配。
8月16日(日)
今日は、問題の船窪越え。
未明まで雨がぱらついていたようだが、3:00に起きて準備。4:30出発。烏帽子はパスした。
日が昇るにつれて快晴になる。夏空が広がり暑い!南沢岳までは順調にすすんだが、その後の不動岳までの地図のコースタイム1:00はあり得ないだろう!と思った。楽に1:30近くかかった。
ここから覚悟の崩壊路だが、第二ピークまではそれほど崩壊の箇所はなかった。が、上り下りがけっこう激しくエネルギーけっこう使う。いつものように段々休みの間隔が短くなってくる。弁当を3回に分けたがそれでもすぐに腹が減るし、ペースも落ちる。やはりパワーの持続力がイマイチ。前日にがっちり飯を食っておかないとどうしようもない。
第二ピークの先の崩壊箇所はさすが、「なんじゃ?こりゃ?」と思うようなところが何カ所かあった。ただ、ロープかワイヤーが垂らしてあり、ゆっくり慎重に進めばなんとかなる。実際逆コースをすれ違った登山客もけっこういた。
船窪乗越から最後の登りのキツイこと。キャンプ場の場所の予測はなんとなくできたのだが、そこまでの長いこと長いこと。
なんとかテント場についた。テント場は狭くせいぜい10張りぐらいのスペース。早めに着いて正解だった、と思った。
水場は10〜15分下った、崖斜面の凄い所にある。水は冷たくて、いままで飲んだ水の中で一番オイシイ水のように思えた。目一杯6Lほど補充!チト重いが無いよりは全然いい。
少しは先が見えてきたが八峰キレットの10時間が一日で越えられるかどうか?不安でしょうがない。最悪キレット小屋に一泊か・・・
南方系の高気圧なのか?夕日が沈むまでまったく寒くない。のんびり夕日を眺める。珍しく虫も少ないテント場。金もかからないしけっこういいかも・・・ただ近くに遊ぶところはまったくない・・・
8月17日(月)
今日は行程的に大した時間はかからなそう。それでも朝3:00に目覚め、準備を始める。珍しくテント、フライが濡れてない。空気自体が乾いているのだろう。畳むのがすごく楽!
余りにも早すぎて少し明るくなるまで待つも4:20我慢出来ずにヘッドランプつけて出発。七倉の上で朝日が見れる。今日も快晴の様子。蓮華へのザラ場の登りが結構きつかった。コマクサの群生が見れた。そう言えば野口五郎にも咲いていた。頂上手前で同じテント場を6:00に出てきた登山者に追い抜かれる。いつもながら情けない。
蓮華岳からの眺めは最高。北を見ると鹿島槍、白馬・・・南を見ると槍、穂高・・・西は立山、剱・・・東は大町の里がすべて見える。やはりこの辺が北アルプスの丁度中間点なのだろう。
あとは下るだけ。のんびり針ノ木小屋へ下る。昼前に着く。天気はいい。テント張ってのんびりsる。
明日の行先を種池か冷池かで悩む。キレットを越える為にはどうしても冷池まで行かねばならないのだが・・・果たして・・・
8月18日(火)
天気は快晴。4:30出発。針ノ木途中で朝日が昇る。
針ノ木に登った後は稜線の起伏もそんなに激しくなく順調に種池に昼12:00につく。ほぼコースタイムか。さてどうするか?ここからまた2:30・・・すでに朝から7時間以上歩いていて、残りのパワーがちと心配。しかし、このくらい走破出来ないようではキレット越えはまったく出来ないだろうし・・・。キレットの最後の登りなどバテバテだろうし、時間も倍みたら12時間ぐらいかかる可能性もありそうだし・・・ただキレット過ぎればあとはなんとかなりそうな気がする。と言うことで冷池までトライしてみた。
種池は扇沢からのハイキングコースになっているようでけっこう小屋はにぎわっていた。爺ヶ岳までの登山道もまったく整備されていて老若男女誰でも普通の靴でも登れそうなくらいだった。そんな簡単な道を余裕なくピークをパスしながら巻き道をひたすら進む。
やっとこさ着い冷池山荘はジョッキの生ビールが売れまくっていて、まったく山小屋というより街場の飲み屋の状態だった。
天場は小屋から10分近くも離れた稜線上にあるがロケーションは最高。目の前の剱に夕日が沈むがのテントから眺められる。結構天場も広い。
山荘の受付の雰囲気がイマイチだった。山荘側からすればテント泊の500円の客より、600円、700円の生ビールジョッキを何杯も飲む客の方がありがたいのだろう。
なんか背中がやはり痛い。ちょっと隣の人にザックの当りを見て貰って調整するが、果たしてこれで明日キレット越え保つかどうか???ちと心配。
8月19日(水)
朝少し寝坊して3:20。慌てて朝食&準備。4:20バタバタと出発。天気はよさそう。
鹿島槍南峰までは整備されていて抜群の登山道。途中朝日も見れた。まるで舗装道路みたいなもん。しかし南峰を過ぎるとやっと岩場の普通の登山道になる。どうも歩いていて足に力が入らないと思っていたら、どうやら昨日の10時間の疲れが残っているらしかった。なんとなくよたよたでちと恐かった。おそるおそる慎重に下っていく。危険な箇所は鎖、階段がちゃんと付いていて、ゆっくり行けばなんら問題はない。時間的に対向者もまだおらず渋滞にはまることなくスムーズに進めたのが幸い。小屋にはコースタイム以内で着けた。
気合いを入れて登りに挑戦する。足はまだなんとか前へ出る。岩場の登りが続くがなんとか踏ん張る。11:00ぐらいから稜線の東側だけにガスが覆いかぶさる。歩いていても右側の空気が暖かく、左側の空気が涼しいのがはっきりわかる。手持ちの弁当やファミリードーナッツなど食いつなぎながら進みやっと五竜着。時間は11:40意外とバテないで登り切れた。後半は倍ぐらい覚悟していたのだが・・・
五竜頂上でガスが上がってきて回りが見えなくなってきたので急いで小屋まで下る。場所は見えてるので安心だがけっこう足が棒になっている。
12:30ようやく到着。早速テント張る。
テント張り終わって14:00には回りはガスに包まれてちと寒いくらいになってきた。
天場は母屋の真ん前で入口の1L100円の水もある。けっこう良心的かも。
宿の対応の感じも良く、夜は発電機の音も遠くで静かでけっこういいテント場だと思った。
8月20日(木)
今日は疲れも溜まっていそうだし、唐松まで行ければ十分と思い朝ゆっくり4:00過ぎまで寝ていた。が、天気良さそうなので、早めに着けばそれにこしたことはないと準備して5:20に出発。
唐松まで2山3山越すが何か力が入らない。登山道は危険な岩場もなくそれでも進めるが、その先、不帰をこんなパワー不足で越えられるかどうか?悩む・・時間的には十分間に合いそうだが・・・天気は上々で後は気力の問題だけ。
力は入らないがそれでも朝一はまだエネルギーあり唐松山荘の手前のピークで若干の岩場と鎖場あったがなんなく登り切ってしまった。結局コースタイムより早いくらいの2時間で唐松山荘に着く。ロケーションは最高!目の前に剱、唐松と五竜に挟まれてみんな見える。建屋も新しくて綺麗。
時間もまだまだ余裕あるし先に進むことにする。気合いを入れて唐松に登る。天気は上々。先をみると岩場の起伏はあるが、それほどでもなさそう。
不帰の二峰前後にちょっとした鎖場があったが、それほど難しくもなかった。
天狗の大下りの登りのとっかかりの前で弁当を食って力着ける。覚悟してたほどのバテは来ずけっこうすんなりと登れてしまった。
すでに2週間も歩き続けるとそれなりに脚力、パワーがついてきたり慣れもでてきているのかもしれない。
ついに3枚目の地図に突入。登り切った天狗尾根は最高のコンデション。剱側からひんやりした涼しい風が身体を冷やしてくれるし、真上の太陽には雲一つなく真夏の陽射しが降り注ぐ。何時までも歩いていたいような気持ちのいい尾根歩き。前方には白馬鑓、後方にはいままで越えてきた山々が遠くまで見える。最高の状況かも
12:00過ぎ天狗山荘に着く。こじんまりした村営の山小屋。感じよさそう。何てったってテント者にも休憩室を自由に使って自炊などもしていいというおおらかさが気に入った。水場も雪渓の雪解け水がこんこんと小屋の前を流れている。最高かも。
水場で足を洗っていたお兄さんがすごかった!上高地からここまで4日で来た!とのこと。今晩、明日で栂海新道下って日本海に出るつもりだとのこと!自分がチンタラ20日間近くかけて縦走しようとしているコースを5日で走破する、という。まったくすごい!登山者の中にも色々いるんもんだと感心した。
すでに2時過ぎ、今から白馬、雪倉、朝日まで行きたいとのことだった。
元気で出発していったが翌る日の悪天候でどうなったのかちと心配。
2:00過ぎになってやはりガスが上がってきた。鑓も見えなくなってしまった。明日は天気は曇りで午後から雨と良くない予想。せめて白馬までの3時間ぐらい保ってくれればと願う。
小屋の食堂に食料、ガス、食器持ち込んでゆっくりとコーヒーなど飲む。室内で炊事できるのは楽でいい。水場も近いし、いいテント場。ものすごく気に入ってしまった。
日程は後順調に行けば、白馬、朝日、栂海の3泊4日だが・・・
夜中突然強い風でテント煽られる。明日の前線の影響が早くも来てるのか?テントが潰れそうな強風こえぇ〜!明日は早く着いてもテント泊はちと恐いかも。
天気の事考えると今回ここまで来れたのはやっぱ単に運がよかっただけなのかもしれないな。天気悪かったらどうなってたか?まったくわからんもな。9月の剱はどうなるのか?少し不安
8月21日(金)
強風に煽られるテントで夜中目が覚める。3:30天気は悪そうだがとりあえず準備を始める。4:00にはまとまるが真っ暗な外に出る気も起こらない。風が収った瞬間を見計らってテントを畳む。
テント畳んで食堂へ。既に準備して待機している登山客が2組。みんな五竜の方へ抜けると。この雨、風ではちと難しいんでないのか?一度出発したが稜線の雨風の強さに参ったと行って戻ってきた。他にも小屋からそっちの方へ出発する登山者が数人・・・みんなすごすぎ!
白馬の方は幾分道は楽。受付で聞くと天気は悪くなる一方との事。出るなら早い内。既にガスで先は見えなくなっているし時折小雨も降り始めている。
5:50意を決して出発。雨が鑓の前で既に降り始める。その後降ったり止んだり。風はまったく収らない。ガスで前方視界も10〜20mぐらいしか見えない。必死で歩く。こんな天気の中白馬から来る登山客とぽつぽつすれ違う。みんなすげぇ〜!鑓はパス。杓子もどこだかまったくわからない。ただ前に進む。1時間もあるくとカッパの中はビチャ!
これも経験とは言えまったく楽しくない。それでもコースタイムだいぶ短縮して8:00前に山頂宿舎に着く。すでにテントを張っている猛者もいる。受付で食事の内容は?と聞くとバイキングとのこと。朝食もバイキングとのこと。あっさり宿舎に一泊二食で泊まることに決定。
今回の縦走で初めての小屋泊まり。この暴風雨ではしょうがないでしょう、と自分を説得する。
外は増々天気大荒れの様子。談話室で漫画本みたり、他の登山者と笑談して時間潰す。
バイキングのメニューは白身魚のソテー、焼肉、竹の子の煮物、ネギトロ、デザート・・・久しぶりの生ご飯と生おかず!嬉しくてシアワセ一杯!さもしく腹一杯食いだめする。食い過ぎで苦しくなって部屋に帰って横になったらそのまま寝てしまった。
やっぱ小屋は楽!居心地がいい!
衣類、ザックなどみな完全に乾かした。
しかし、ここで、こんなに楽をするとすでに山旅が終わったような気になってしまう。日本海まではまだ3日もかかると言うのに・・・。
8月22日(土)
朝3:00目が覚める。雨は上がってるようだが、風が相当強そう。2段ベットの16人部屋にわずか客2人。
5:00のバイキング朝食をさもしく目一杯喰う。メニュー的には鮭、卵、とろろ、なっとう、おくら、のり、ふりかけ・・・などけっこう充実。
6:00出発。天気は晴れているが相変わらず風がそうとう強い。食い過ぎで身体も重い。
白馬山荘を過ぎて、白馬頂上に6:40着。風が強くて落ち着いて景色も楽しめない。妙高の方に雲間から光が射してなんとも言えない絶妙の光景が広がっている。朝日岳と小蓮華の分岐まで来る。昨日他の登山者と話していて急に温泉に入りたくなった。一旦下ってまた朝日まで昇って行けばいい、と小蓮華の方へ進む。これがこの旅の終わりの始まりだった。
小蓮華あたりまで下りてくるとようやく風も少しはゆるくなってきた。目の前に白馬大池が見える。昨日の雨で空気が澄んだのか槍、穂高もはっきり見えてる。あそこから来たと思うと、なんか懐かしい。
朝飯を目一杯喰ったのでまったく腹は空かない。やっぱり生ご飯は腹持ちがいい。白馬大池に着く。そのまま温泉を目指して蓮華温泉に下っていく。
コースタイム2時間だが、苦手の下りでなおかつ岩ゴロゴロの道3:00近くもかかってしまった。
蓮華温泉ロッジに着いて、とりあえず温泉を確認してから蓮華の森へテントを張りに行く。けっこう広くてすてきなキャンプ場。炊事場、便所、テーブルイスなども揃っていた。目の間に雪倉、朝日も見える。
一休みして温泉に挑戦。仙気の湯に浸かる。眺めも良いし、水温も適度。どっぷり浸かってのんびりする。2週間ぶりの湯船は最高にリラックスできる。このまま下山して帰りたい気分になってきている。もうすべて終わったような気がして気が抜けてきている。明日の朝日への登りは相当きつそう。
少し、なんかもう登り返して日本海目指すのもどうでもよくなってきた。
温泉はまずかったかも・・・
穂高から白馬まで。それでも十分なんじゃない?などとも思い始める。
ここから歩いて10分のところには蓮華温泉のバス停もある。明日帰ったとして17日間。十分と言えば十分だし・・・・、でも、心残りと言えば心残り。
ここで止めたら栂海新道はもう来ることはないような気もするし・・・・。
一晩中、心が揺れた・・・でも、温泉に浸かったおかげでぐっすり眠れた。
8月23日(日)
朝、5:00前に目覚めた。結局、完全にもう下山する気分になっていた。近くのベンチでありったけの食料2日分をほとんど食い尽くし、踏ん切りをつける。これでもう先へは行けない、と。
なんか寂寞感もありーの、虚脱感もありーの、心残りもありーの・・・の中、のらりくらり荷物をまとめ、テントを畳む。けっこう雰囲気のいいキャンプ場だった。天気は曇っていて気温も15℃前後で少し秋の気配も感じられた。
10:10のバスに乗り込む。他に乗客が10人近く。1時間揺られ、まどろむ。
平岩は無人駅。駅前のヨロズヤで菓子パン2つ買う。うまい!下界の食べ物がなんでも美味く感じられる。
ホームが一つ。そこに一両のローカル列車が糸魚川からゆっくり入線する。中は結構混んでいた。
南小谷で松本行きに乗り換える。JR西と東の境目の駅。
大糸線は車中から見える白馬などの北アルプスが絶景。もう一度来て今度はもっとゆっくり歩いてみたい気分になった。
なんだか、自分でも驚くほど、突然、あっけなく旅は終わってしまった。
下界はまだ夏真っ盛りだった。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:6334人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら