栂海新道から北アルプス大縦走(釣り針型に剱岳へ7泊8日)【朝日岳、雪倉岳、白馬岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳中峰、針ノ木岳、蓮華岳、烏帽子岳、野口五郎岳、赤牛岳、黒部五郎岳、薬師岳、立山、剱岳、奥大日岳】
- GPS
- 72:58
- 距離
- 215km
- 登り
- 20,844m
- 下り
- 19,807m
天候 | 雨雨晴晴雨雨晴雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
大日岳から称名滝へ下山。 称名滝はバスがでていますが、下山日は大雨で交通規制がかかり、バスが上がってきませんでした!! 尾張小牧ナンバーの親切な方に載せていただき下山できましたが、そうでなかったら激雨のなかを歩いて下ることになっていたかも。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所は多々ありましたが行程が長くて書ききれません。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
七泊八日で北アルプス縦走しました。
ヤマレコではうまく表示されませんが、ログをつなげると215kmほどになりまました。
こんなに長く山にいられることは珍しいので、折角なのでアクセスしにくい山を総なめしようという計画。
北アルプスの北部にある百名山、二百名山、三百名山をすべて登るルートです。(9日目に鍬崎山も登りたかったのですが、足の裏のダメージが大きく諦めました。)
初期装備は20kgで、最終的には13kgぐらいでしょうか。TJAR的な山登りもしたいのですが、8日間も山小屋の飯を食べるのはお財布に厳しいので、普通の縦走装備になりました。
9日分をもっていったつもりでしたが、予定以上に食料が減り、7日分ぐらいでしたね。
食料はリゾーニというパスタ、生米、アルファ米、マルタイ棒、堅パン、あまりが主力でした。
カレーメシが使えるという話しを聞いたので次は採用してみたいですね。あと今回採用しませんでしたが、リフィルも使えます。
TJARみたいな装備で入る人が多く、私もそれを検討していましたし、以前はそういうこともやっていました。
縦走装備で山にはいっているからといって、軽量化した縦走が嫌いというわけではないのです。
ただTJARへの憧れや、出たい!という気持ちは、今はほどほどです。
出るまでの手順が結構面倒ですし、実力的に難しいと思っていたので考えていませんでした。
蓋を開けてみれば結構歩けているので、ひょっとしたら下位ラインには食い込んで、完走狙いできるのではないかと思いましたが、書類選考の条件を見たら、やっぱりだめだと諦めました。
いまのTJARは写真の撮り方に細かく指定されています。
こんな細かいことをしなければならないほどに、不正をする人が多いのでしょうか。
来年のTJARに出るには、今シーズン中にTJARを狙った登山を4日もしなければいけません。今年の夏山シーズンを全てそれに賭けるのは少し馬鹿らしい気がします。
というわけで、やるなら勝手に歩けばいいかなってスタンスです。出場選手以外でもすごい人はいっっぱいいます。
私なら、1日早く出発して追い抜かれながら応援するなんてどうでしょう、条件が許せばそんな考えもあります。
今回は電池問題でかなり悩みました。近頃はスマホの地図を使うことが多いのです。
しかし常にスマホのGPSを稼働させ、地図も頻繁に見るとして、それをフォローするだけの一週間以上のモバイルバッテリーを持っていませんし、買っても重量になってしまいます。
そこで基本的に電源を落とすスタイルに戻しました。地図は紙のものを久しぶりに買いました。写真はデジカメです。GPSのログは、昔買ったロガーを持ち出してログをとらせました。
しかし2日めと4日めがうまくとれていません。うまく動作しないことが多いので、5日めからはスマホでログをとることにしました。
また朝型とりわすれたりがあり、あとがきしたものが混ざっています。
だから標高グラフなどがうまく表示できないのでしょうか。
単純に量が大きいだけでしょうか。
モバイルバッテリーは小型のものと、乾電池式にしました。乾電池式ならいくらでも容量を増やせますし、容量あたりの重量はリチウムイオン二次電池より高いはず。
しかし、思ったほど充電されないなという実感でした。アルカリ4本で1500mahぐらいでしょうか。
歩きながら、山と岳について考えていました。
高い山は岳と呼ばれることが多いけれど、立山や富士山は山である。
低い山でも岳と呼ばれるものは、激しい岩山であったりする。
昔の人は、人が頻繁に入る山を山と呼び、人の踏み入れる場所ではない山を岳と呼んだのではないかと想像しました。
山であれば遺跡や炭焼き小屋があり、岳には近代登山以降のものしかない。
もちろん例外はあるけれど、大概はこうなのかもしれないなと。
811金
コースタイム2130を1230で短縮率58
812土
天狗小屋まで1150を900で短縮率76
813日
1950種池小屋を1230で短縮率64
814月
2200烏帽子小屋を1440で短縮率66
815火
1645黒部五郎キャンプ場を1300で短縮率78
816水
1410スゴ乗越を930で短縮率68
817木
1655剣沢キャンプ場を1020短縮率61
818金
1600称名の滝を1105で短縮率69
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一日目【朝日岳】
初日、というか前日になりますが、親不知駅行きの終電にのると、登山者らしき人が10名弱ほど。
つがみ新道なんて登る人は滅多にいないと思われましたが、さすがお盆前は人が目立ちます。
関西系のおじさんと話して、今日は何時に出るだとか、途中で追い抜くだろうなどとありきたりな情報交換をしました。
おじさんはタクシーで親不知までいくそうでしたが、親不知は標高80mあるから海から登ることにならないじゃないか、と思って徒歩で親不知まで。
(しかし、親不知から海岸まで降りられますので、大抵の方は一度海抜ゼロまで降りてスタートするようです。)
道が狭く危険箇所があるとは聞いていましたが、それは全体の一割程度でしょうか。対向の貨物車がくるタイミングをはかっていけば大丈夫ですが、推奨はしません。
親不知にいくと、トレラン風(TJAR風)の男性がおりまして、ゼロ時スタートするだとか、あずま屋で寝ている人もいるだとか話を聞きました。
話を聞きながら、夜進めるところまで進んでしまった方が暑さを回避できて良さそうだと思い、仮眠して6時スタートの予定を変更し、すぐさまスタートすることにしました。
追い抜く話をした、関西系のおじさんが心配するかもしれないな、といったことだけが気がかりでした。
しばらく歩いて林道に出たところで仮眠しようと横になりましたが、虫が大量に発生していて、横になると体にとりつき、痒くて眠れません。
これは眠れそうにないなと再び進もうとすると、後ろから男女の話し声が聞こえてきました。
一人は親不知で話した男性で、もう一人は親不知までの電車で横に座っていた女性。
どちらもTJAR風の軽量装備で、初日で朝日岳までいくとか。
わたしは初日は黒岩岳までと思っていましたが、ここまで彼らに追いつかれなかったわけだし、ついていけるところまで行くことにしました。
なんだかんだでこの3名で3日めまで一緒に行動することが多く、おかげで山行の前半がたのしく過ごせました。
男性はグルメ登山などゆるい方から、ガチ側に入ってきたTさん。
女性はトレラン歴も長く、冬山もやるOさん。
序盤は雨が降ったり止んだりです。
降っても小雨程度、雨具を着たり脱いだり忙しくてかないません。
ポールも同じく。
おろすのが大変な重いザックこそ、取り付け収納を考えねば。
白鳥山非難小屋まで3人パーティで進みましたが、睡眠ゼロでここまできたので眠気が限界です。
ひとまずここで休もう、と3人で仮眠。先客が2〜3人ほどおりましたがすでに起き始めていました。
さて目がさめたら、一人。狐につままれたようです。
ペットボトルの下にメモ書きが「5時に出発します」
いや、今伝えられても!
結局1時間遅れでスタート。二人は荷物も軽いし追いつけないと思いましたが、結局テン場まで追いつけず。
白鳥山から頑張って歩いていると後ろから鈴の音が。
3時間仮眠してから出発した早いランナーさんに追い抜かれました。
一言二言交わして先に行かれました。
この方も同じテン場でしたが、到着は相当早かった様子。
このあたりで転んでシナノのトレランポールを曲げてしまいました。
曲がったまま最後までやりきれたので、私の中でシナノの信頼性が確たるものになりました。
やっぱりアルミ、太めのモデルが信頼できそう。
シナノは曲がったものを修理してくれるそうですが、古いモデルなので部品があるかどうか。今のモデルとは太さが違う気がします。
栂海山荘でヘッドライトを拾いました。ほぼ新品。
山荘の前のテーブルに、いかにもついさっきポンとおいて忘れたようでした。
小屋の中や周辺に誰もいないし、これは先を行く数名の誰かだろうと思い、拾っていきました。
このあたりから雰囲気がいかにも山岳地帯になっていきます。
アルプスになるよ、アルプスがくるよとなっていきます。
黒岩山から先は高原の湿地帯で、準アルプスの豊かな水と花畑。
黒岩平、アヤメ平、朝日岳まで天国でした。
この日は人がいなくて、一人とすれ違っただけ。ホント最高。
こんなところで幕営したいものですが、そういう方が多いからか”キャンプ禁止”の立て札が各所に。
確かに悪影響でしょうね。
ふとそこにあるベンチでちょっと横になると1時間経っていました。
かなりのタイムロス。
それでも朝日岳を経由して、朝日岳の小屋に到着したのは16時半。
なんとかまともな時間にたどり着きました。2人とも再会できました。
早くテントの手続きをしたいのに、小屋番のオバサンの食事開始のアナウンスが長くてとまりません。
「狭いんだから、あれっ財布がない〜なんていって、戻るのは絶対やめてくださいねぇ」みたいな話を、ちょっと小馬鹿にしたような感じで繰り返すものだから、本当に長く感じました。
その間に、周囲にビールの客が集まってくるし、勘弁してくれテントの手続きさせてくれ。
手続きの際に、次のテン場を唐松岳のつもりで間違え”カラサワ”と間違ってしまったのですが、オバサンが延々と笑い続けるのでほんと口を塞ぎたい。大して面白い間違いじゃないだろう。ワタシはあんたの口にテントを詰め込みたいよ。でもそれをやったら設営できないのでやめました。
朝日平はテン場が広く、設営に困ることはありません。
トイレは森林管理署が建設したものを、ちゃっかり借りてる小屋でした。
トイレの建設コストがはいっていないのに、一人1000円の場所代です。
ここは、今まで泊まったテン場のなかで一番高いです。
今回の旅の宿は、なんとモンベルのテンチョ!
こんなの使うやつはいませんよ。しかもアルプスで。
基本的にしんどい系シェルターなので、普通の人は使いません。
しかしシンドイ割に590gと重いので、ガチ勢も使いません。
ケープとして使えるので、雨具を省略して軽量化が狙えるのが売りですが、もちろんアルプスでは叶いません。
私は今回なぜこれをもっていったのかわかりません。
ツェルトならいくらでも持っているのに。
ツェルト持っていけば、設営は面倒でも200gは軽かったなぁ。
フロアレスの土間スタイルが案外使いやすいのですが、今回は雨が多く大変でした。
でも意味はありました。テンチョを元にオリジナルのワンポールテントを作る計画。
はっきり言ってケープとして使うことはあまりないでしょう。
しかしシェルターとしては、ギリギリ我慢できる絶妙なサイズです。
ケープ機能を捨てることで、ドアの位置とか、一部フロアにするとか、換気口をなくしたりと、自由な設計が可能です。
7回寝て考えた結果ですが、基本的なサイズ感はかえず、入り口は寝る場所の反対側、袖口なし、顔出す穴なし、ポールが当たる補強はターポリン程度、ペグループは3箇所追加、開いた扉を開きっぱなしにできる紐を取り付け、寝る場所だけフロア縫い付け。15dnで250g程度と考えています。材料費は1万円程度。2張り作成予定。
早いところCADで設計図を起こさねば。
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二日目【雪倉岳、白馬岳】
一日目の序盤で一緒だった2人について。
前の晩、Tさんのほうから、何時に出るんですかと聞かれて答えました。
で、その時間に起きてみると、2人のストックシェルターが消えています。
なんだこれ、狸に化かされたのか。昨晩はここにあったじゃないか。
というか、一緒にスタートしようって意味で時間を聞いたんじゃないのかよ。
という状況でスタート。
スタート直後に雨が振り始め、雪倉岳が近づくと相当な雨に。
雪倉岳、その名の通り、雪の蔵といいますか、雪渓の多い山でした。
そして雷鳥にも3回ぐらい会いました。
低体温の危険もあるような状態でしたので、長居はせずサクサク避難小屋で装備を整えます。
そこでTさんとOさんの2人に再会。
2人も別々にスタートしたそうだが、ここで再会したとのこと。
私は装備を整えたら、雨の中を出ていきます。
天気が好転すれば不帰キレットを越えたい。
しかし避難小屋を出たとたん雷が落ちだして、即小屋に戻りました。
実はこの小屋で、白鳥で追い抜かれた人とも合流したのですが、栂海の小屋で拾ったライトはこの人のものでした。
持ち主に届けられて本当によかったです。
小屋で1時間ぐらい停滞。3人でスタート。
白馬岳を前にして寒くなったTさんがスピードアップして離脱。
初日速かったOさんはちょっと遅れ気味。
白馬岳の山頂はOさんと二人で記念撮影です。
白馬岳の山頂から南側へ降りた途端に気温がぐっと上がりました。
山の境でこんなに空気が違うとは、いま南側から上がってくる人は寒さで面食らうだろうなと思いつつ山頂の小屋でTさんと合流。
Tさんは今回、ほとんどを山小屋の飯で済ます計画で、スピード上げてご飯食べる時間をつくる必要がありました。
山小屋で食べるご飯は、高いけど便利というイメージですが、私からしたら不便極まりないです。
ランチを出す特定の時間に山小屋にいけるとは限らないし、小屋によって内容はピンきり、カロリーメイトすら売らない小屋もあります。
北アルプスでは大抵アンパンは売っていますが、ほかに飯らしいものはカップラーメンということもあります。カップラーメンが売り切れることもあります。
夕食の支度がはじまったらアンパンもカップラーメンも売らない場合もあります。
タイムロスも見過ごせません。事前に調べておかないと事情により営業中止なんてこともあります。
考えることが増えて、かえって大変だったりもするのです。
でもうまくいけば美味しいものが食べられます。白馬岳ではカツカレーが1200円だとか。山小屋の割には安いし、肉類は貴重ですよね。
再会したばかりでしたがすぐにお別れ。
私だけ先に行くことに。
もうこの時点でキレットを越えるのは時間的にギリギリで、天気も微妙で日が沈む時間帯に入って良いものでもないので、テン場は天狗小屋に決めていました。
白馬三山の二つ目を越えて降りるところで、ピークを巻いたTさんと合流。
ピーク3の白馬鑓は一緒に登って記念撮影。まだ3人の写真はありません。
天狗小屋まではすぐでした。今回の旅で、2日目が一番短い行程です。
天狗の小屋は雪に押されて小屋にダメージが有り、通常営業はできない状態。テン場はやってますが、雪が多くスペースは半分ぐらいに。
いい場所を確保して設営すると、一瞬好天になり、白馬鑓が見事に見られました。
最高でした。
GPSロガーが働いておらず、ログがとれていなかったのは残念でした。
天狗小屋は徐々に通常営業へとすすんでおり、この日は名物の釜プリンをはじめてだしました。
峠の釜めし規格の釜に真っ当なカスタードプリンを作ったもので、結構なサイズ感。
そして美味しい。下で食べても結構すると思います。
数量限定500円なので、あるなら絶対食べるべき。
この日は、明日は何時に出るか打ち合わせをして就寝しました。
天狗小屋は標高2700mと高く、位置も山の上の方で、とても寒い夜でした。
1000円。寒いけれどもシチュエーションはよかった。
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三日目【唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳】
夜明けとともに不帰キレットに入る計算で出発。
出発は微妙にばらばらでしたが、天狗の大下りに入る前に合流。
この日は、最高の日の出でした。雷鳥もいました。、
最高の天気のなか、高度感抜群で危険度も抜群の不帰キレットを3人でめいっぱい楽しみながらこえました。
楽しいで上書きできたおかげで、苦痛なくこえることができたのですが、すれ違う方々には「元気だねえ、遠くから声が聞こえたよ」と言われ、さぞ煩かったことおでしょう。
すいすい越えてしまいましたが、あとからデジカメをみると、核心部の写真がほとんどなかったです。やはり危なかったのだ。
こえて唐松岳に登るところでブロッケン現象が。
初めてです。だいぶ感動的。
唐松岳では、やっと3人の記念撮影をとることができました。
お天気的には一番恵まれた日でした。一番天気の良い日に、不帰、五竜、八ツ峰キレットまでこえられたのは、行程的にラッキーでした。
ところが唐松山頂小屋から先が思わぬ難所。
牛首尾根という子供でも簡単にこなせる鎖場があるのですが、なんと大渋滞。
不帰と比べたら笑ってしまうようなレベルですが、それだけに初心者が押し寄せて順番待ちです。
先にいかせてくれたら5分で全部こなせるのになぁ、だいぶイライラ。
鎖場は仕方ないです。ただ鎖場から先の追い抜かせるところまできても、譲ってもらえません。
初心者なので譲りません。譲らなきゃいけないって意思がそもそもありません。
知らないだけならまだいいほうで、絶対譲らないオババさんもいて、本当に酷かった。
この人は、前から来る人がいても譲りません。
前から人が来ると「嫌だ来ちゃった」とか言いながら突っ込んでいきます。
鎖場から鎖場の間も譲らないし、明らかに速い人がいても譲りません。
富士山みたいなノーマナー空間、今回は立山とここがそうでした。
渋滞をみた瞬間、これは今日は終わった、予定どおりの時間にはたどり着かないと思いましたが、案外すぐ抜けられて、平常のペースに戻れました。(マナーの良い集団のほうが多い)
6割ぐらいのペースを維持して五龍岳へ。
3人は、ついたり離れたりでしたが五竜の山荘で合流。
五龍岳の山頂で集合写真。
そこから先はやや危険な岩場の連続。
命の危険を感じるほどではありませんが、一端のアスレッチック山。
これがとにかく行程が長く、体力を削られます。
ここらでだんだんペースが早くなって5割ぐらいになり、独走状態に。
途中ですれ違ったトレラン風の人に今日はどこまでいかれるんですかと聞いたら、
「冷池からカラサワまでです」と話されました。
ほら!カラマツをカラサワってまちがえる人、よくいるんだよ。笑うほどじゃないっ!
サンダルで歩いている人がいましたね。山小屋の周辺で使うようなやつです。
その方は10日以上縦走続けているようです。
靴は持っていてザックのなかにあるとのこと。
その時は、なぜサンダルなのか理解できませんでしたが、おそらく足に異常が出て靴が辛かったんじゃないかなと今では思います。
私も後半はサンダルで歩きたいときもありました。
キレット小屋へ到着したのは12時すこし前でしたが、ここを出る時間が遅いと小屋番にいろいろ言われそうなので、早々に出発しました。
その先は、難関と予想されていた八ツ峰キレット。
実際は拍子抜けするほど簡単でした。
すれ違いの方に「ここは初心者用のキレットですからね」と言われ、そういうもんだったのかと。
ボリュームもなく、これならキレット小屋までのほうが相当きつかったです。
鹿島槍ヶ岳は南峰が最高峰ですが、北峰も登りました。
しかしGPSロガーはもっていったのに、カメラを忘れるという始末。
北峰の分岐にいた青年が証人になってくれるので、まぁいいでしょう。
記録より記憶ですよ。
このあたりで子連れの親子にすれ違ったのを覚えています。
「キレットいくのは無謀ですか」と聞かれて無謀ではないと答えたのですが、後から思うと明確に止めておけばよかったです。
子連れでキレットは無謀ではないけれど、無謀かどうか人に聞くような人は行くべきではない。
それに想定以上に時間がかかるのに、午後になってから難所に入るのは考えられない。
山に慣れている人って前提で話してしまい、後悔です。
ここまではそれなりに慣れた人しかいませんが、この先はすぐ初心者ゾーンだったのです。
南峰から先は再び初心者ゾーンですが、道も広いしも問題ありません。
冷池で水を買ってその先へ。
鹿島槍から爺ヶ岳手前の分岐まで、付かず離れずトレランのおじさん(日帰りで五竜と鹿島槍)の方とご一緒しました。
いつかどこかのレースで会えたらいいのですが。
意外ときついのが爺ヶ岳でした。
ヘロヘロになっても、地図にあるルートから、中峰と南峰のピークは踏みました。
その間を巻いたTさんに先に行かれ、種池山荘に到着したころにはストックシェルターがはられていました。
テン場はギリギリ、50張り近くありました。後からきたOさんは、ストックシェルターを縛って短くしてなんとか張っていました。
でも寝られるだけよかったです。700円。
テン場では、間違えてドームテントの支柱を違うモデルのものを持ってきてしまった人がいて、まともに設営できなくて不憫でした。
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四日目【針ノ木岳、蓮華岳、烏帽子岳】
この日の行程はコースタイムで22時間分あります。
18時間以降はペースがガタ落ちする可能性があり、勝負の日でした。
このテン場から一番早く出発。1:50発。
白鳥非難小屋、朝日小屋とつままれたり化かされた側ばかりでしたが、今回は逆に化かす側で、してやったり。
キレットも終えて、今回はとにかく歩けるだろうと思っていました。
しかし四日目は全体的に岩場が多く、意外と走れるところがありません。
ヘルメットがあったほうがいいエリアも多めでした。
危険と思われるのが赤沢岳の先。
赤沢岳の山頂で日の出でちょうどよかったです。
スバリ岳までは意外とゴツいエリアで、針ノ木峠の前後(針ノ木岳、蓮華岳)は初心者だらけの異世界。
その先は、また厳しさを見せていきます。
針ノ木峠に降りていくと、峠越えルートとの十字の箇所に、いかにもな山のオヤジが腕組みをして待ち構えています。
ああ、これは説教をするタイプのオヤジだな、と見てすぐ感じました。
「今日はどこまでいくんだ」
やっぱこれか。これで大抵怒られます。
「そんなところまでいけるわけないだろ。無謀な登山はやめろ。」と続くわけです。
だから一つ向こうのテント場までですよ、といつもはいうので、安全面でいったら「どこまで行くんだ」オヤジはどうかと思います。
相手のペースや体力を聞かないで非難されることが多かった。
今回は正直に答えてみました。「烏帽子まで」
重ねて連続攻撃「今日は種池から来てるので大丈夫ですよ」
よっしゃ、これでぐうの音も言わせねえし。と思ったらヘルメットかぶれとか色々言われました。
でもまぁ、ファストハイクでも重装備だったので、悪い印象ではなかったようです。
山岳警備で遭難救助もされているでしょうから、登山者へ文句も言っていい立場ですしね。遭難されたら迷惑だす。
蓮華の大下りはなかなかの大下り。
これを登るのは大変そう。不帰のキレットもそうですが、北上より南下をおすすめします。
蓮華の大くだりのあと雷鳥を見ることができました。
さきを急ぐなら舟窪小屋には寄る必要はありません。
買うものもなかったのですが、せっかくなので往復10分ほど使って見にいきました。
船窪小屋では、寄っただけなのにお茶をだしてくれたり(そこは足りていたのでお断りしましたが)出発したときに安全を祈念して鐘を鳴らしてくれたり、良さそうな小屋でした。いつか泊まりたいものです。
船窪峠から先は一気にペースが落ちてしまいました。
さらにここから先は難所で、キレットのように有名ではないものの、昨日で難所が終わったと安堵していた自分にとってかなりの攻撃力でした。
船窪岳第二ピークまでもきつかったけれど、そこから不動岳までは難所ではないけどきつくて、ペースが上がらない。
ここはシャリバテでした。歩きながらすぐ食べられるアンパンなどを買っておくべきでした。
堅パンやしるこサンドなどの乾き物だけでは、どうにも力がわきません。
不動岳に到着したときは、やっと終わったと安堵したものですが、南沢岳までがまたきつくて、その先はゾンビでした。
南沢岳には一人の若者がいて、挨拶をしてもろくに返さない怪しいやつです。
だいたいこういうのは、計画的にビバーグをするつもりなのです。
おそらく明日は烏帽子から針ノ木までいくのでしょう。少しでも先からスタートしたいというわけ。
不動岳でも荒々しい男とすれ違ったのですが、この彼は「今からここを越えて船窪までいく」ということで、彼のこの日の行程を考えれば19時頃になる感じでした。
若い世代は道を譲らなかったり積極的に迷惑をかけることは少ないのですが、無謀登山は多い気がします。
どろどろのゾンビ状態でしたが烏帽子岳には登りました。
ここは本当にどうしようかと思っていました。翌朝に空荷でピストンして出発という手も考えました。
16時半頃には到着できたし、天気も良くていってよかったです。
あと、どろどろゾンビでも裏銀座に登りに来る空荷の登山者より速かったです。
烏帽子小屋ではTさんと再会しました。
私が烏帽子岳に登っている間に追い抜いたようです。
Oさんはいませんでした、ついてこられず針ノ木でストップ。
この度の前半を彩る楽しい行きずり仲間でしたが、それももう終わりです。
翌日Tさんは槍ヶ岳方面へ、私は黒部五郎岳方面へ。
烏帽子小屋のテン場は広くて快適です。800円。
またGPSトラックログとれていませんでした!
もうロガーは諦めて、五日目からはスマートホンでログ管理することに。
GPSロガーですが、昔コーヒー牛乳をぶちまけてから調子が悪いのです。
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五日目【野口五郎岳、赤牛岳】
これ以降は余裕のある行程。
ゆっくり起床して、といっても3時ぐらいですが、夜明け前に出発。
昨日とは打って変わって優しい世界。歩きやすい登山道。荷物がなければ走れそう。
走っている人がきました。「ますださーん!ますださーん!」あっ遭難救助の方だった。
ゴーロ帯の野口五郎岳。300名山ですが、裏銀座で登ったことのある人も多いはず。
黒部五郎はどんなだろう。比較をしよう。ついでに野口健も並べよう。考えながら歩きます。
水晶小屋まではスイスイ。問題はその先。
昨日なぜ頑張ったかというと、赤牛岳に登るため。
私は日本300名山を歩こうと思っていて、できれば丁寧に登りたいのですが、赤牛岳はどこから登っても、速く歩いても休みが3日ぐらい必要な奥深い山です。
いくとしたら、たぶん水晶岳か雲ノ平からピストンになるでしょう。
それなら今回いってしまったほうがいい。
すれ違う人に「今日は雨だからつまらない」などと言われながらも赤牛岳へ歩きます。
普通にいけば往復6時間コース。しかしそれ以上に長く感じました。
私のペースで行けば3時間半程度のはずが、1時間ぐらい多めに使ったとおぼえています。
赤牛岳は、きっと、両隣から見たとき赤い牛が寝そべっているようにみえるから名づけられたのでしょう。
雨でガスっていて景色はよく見えませんが、大きな赤みのある岩の上を延々とある化されます。
地図上ではアップダウンがない歩きやすい稜線ですが、実際は小刻みに上がったり下がったりと、地味に体力を削る山です。
目立ったピークではないから、偽ピークを度々錯覚します。
やっと赤牛岳と思ったことが何度あったことやら。
本当の山頂についたら、山頂にいる人から「ゆうたーゆうたー」と呼ばれる。
ゆうたじゃねーよ。
で、山頂に到着してからその場にいたカップルに聞いてみると、バイザーが似てたからゆうただと思ったんだと。
なんだこの面白い人達は。どうしてそれで確信もてるんだよ。
ということで(?)3人で記念写真を撮りました。
雨でも楽しかったよ。
ゆうたの友達カップルはダムのほうに降りるから、そこでバイバイして寂しく引き返します。
途中で追い抜いた人に、雑誌やメディアに登場する誰かに似ていると言われたのですが、果たしてだれでしょう。
青いバイザーがトレードマークの宮城を拠点にガイド?しているひとらしいです。
青といったら奥宮俊祐さんですが、宮城といったら別のかたかな?ググってもわかりません。
赤牛岳の尾根はは嘘マークが結構あり、○のほうへいくと行き止まることが何度か。
騙そうとしたわけではなく、道を付けなおしたり、崩れたりしたんでしょうが、要注意です。
水晶小屋に戻ったら、まずはメシ。人間らしい食べ物をいただかなければ。
しかし標高も高く水もない水晶岳には、カレーとかないんです。
カップ麺も売り切れです。唯一カロリーがとれそうな力汁を割高でもいただきます。
1000円で、餅がいっぱい入った汁物です。
出来上がる間にアンパンを2つ食べました。600円。
これでなんとか動けるだろう。三俣蓮華の小屋へ向かいます。
三俣へは鷲羽岳を経由するより黒部源流を通ったほうが近いことに地図上ではなっています。
しかし実際は鷲羽経由が良いでしょう。以前もこのルートを歩いたことがありますが、黒部源流側はコースタイム以上にかかる区間があります。
雨であるきにくく、判断ミスでしたが、雷鳥には会えました。
三股蓮華の小屋に到着した時間もそれなりに遅かったのですが、頑張って黒部五郎小屋まで歩いて、雨のなかテンチョを張ります。
黒部五郎までの下りが猛烈にきつかったです。足の裏のダメージがまずいことになっていました。
足のケアの大切さを初めて自認する旅でした。
逆に言えば並の荷物で5日間ぐらいで雨も振らなければ何もせずとも平気なんでしょう。
シューズ、ソックス、ガーニーグー、このあたり再考することが必要です。
黒部五郎小屋ではリンゴ350円をいただきました。久しぶりの新鮮なビタミンC。
それと翌日のアンパン300円も一つ買っておきます。
9日間の食料をもっていったつもりが、7日で終えるペースだったので、この日からは積極的に食料を買いました。
黒部五郎のテン場は1000円。夜中に雨が激しくなっていきます。雨がなければ快適だったかも。
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六日目【黒部五郎岳、薬師岳】
この日も雨でスタート。
黒部五郎岳の小屋は電波が入らず天気予報は不明でしたが、どうやら1日雨らしいとのこと。
不安は雷でした。
稜線コースからいきたかったのですが、ゴーロ帯は足の裏にきついので、無難な沢コースに変更しました。
沢コースはあるきやすく快適でした。
そこで一句「登山道 いつも何かが 濡れている」
ひたすらゴーロの野口五郎岳と比べると、緑あり、水の流れもありで、生クリームだけの安いパフェと、抹茶あんみつの高級なパフェぐらいの違いはありそうだと感じました。
この日、黒部五郎岳に登頂したのはおそらく2番め。
太郎平へいくと晴れて、そこから薬師小屋まで天気にめぐまれました。
乾き物だけではダメだということで、昨日買ったアンパンに加え、アルファ米を1食作って持っていました。
太郎平は景色も良かったし、腹が減ったので座ってかきこんでいると、登ってきた人が、一方的に自分の行程を話し始めました。
彼が今後どこへいってどこにいくんだが、不安で悩んでいることを聞いただけですが、彼にとってはそれが自分の考えを整理するに必要だったのでしょう。冷静にみればおかしいひとですが、それで安全に歩けたら良かろうもん。
薬師のテン場をこえて、薬師小屋までは天国のような風景。
そこから先は雨模様になりました。
薬師岳までは安全な登山道。
北薬師まではかなりの難所。
そこからスゴ乗越までは比較的安全です。
薬師の前後で雷鳥を2回見ることができました。
あと1時間もせずスゴ乗越へ到着するところで、怪しい人に会いました。
挙動不審な話し方で、自ら、これからビバークするのだと言ってきます。
ここから先は道ははっきりしているのかと聞くので、あんたの持っている折りたためないスキー用のストックをもってこの雨の中、北薬師から薬師岳へは危険だから、戻ったほうが良いと言いました。
それでも少しでも前に行きたいからビバークをすると言うので、付き合っていられないので無視しました。
今回は短めの行程で、2日目に継ぐ短さ。
速く小屋についてゆっくりします。
小屋についたらまずはカレー、ヒマラヤンカレー1000円。最後の一食でした。
量は少ないけど味は美味しい。あるだけで助かります。
ここでは滋賀で働いているFさんと、浜松のおじさんと、歓談いたしました。
さきほどのビバーク親父の話も聞きました。
ビバーク親父はここで、この先は危ないところがあると聞いていたそうだ。
なのに私には、道はしっかりしているんだよね、と問う。二重の意味で危ない。
あと、前日もビバークだった様子。
ビバークだったんだけど、テン場からすぐ離れたところでビバークしたそうで、この日もおそらく危険区域の手前だから、テン場から2時間程度のところでしかビバークになります。
ビバークする意味、ほとんどありません。
私も潔癖にビバークけしからんとか言うつもりじゃないんです。
でも大人なんだから、やるならこっそりやろうぜ、ヤマレコとかにはあげるなら言い訳ぐらい用意しようぜ、ってことです。
例えば今回私がビバークばかりしていたとして、ヤマレコにアップできるでしょうか?
計画にやっているじゃないかと、叩かれるのでは?
ヤマレコにアップしたいので、頑張ってテン場までいく、先にいくのを我慢するということが、少なからずあった。そこは利己的だけど、自然に優しくなるしいいことじゃないですか。
このビバーク親父については、人にべらべら喋るのもどうかと思うし、そもそも山小屋から山小屋までの一区間ぐらいしか歩けてないのだから、リスクヘッジを考えてもビバークするメリットがありません。
速くいきたいならダイエットして、体力つけたほうがいいでしょう。
鍛えて装備みなせば、2倍は歩けますよ。
浜松のおじさんがそんな感じで、よく山にいき装備も最適化されていて、流石に私が負けることはないでしょうけど相当速い。
300名山を目指している最中。百名山なんて誰でもできるし言うのも恥ずかしい、ぐらいのレベル。
地元のフィールドが南アルプス深南部で、冬は浜名湖周辺でトレイルラン。相当な強者です。
Fさんは若者ですが、ゆるりと普通のペースで歩く方。
食べきれなかったクリームパン頂いたり、下山後に再会して車に乗せてもらったりとか、何かと親切にしていただきました。
カレーを食べながらあっちの山がいいとか、そういう話をするとあっというまに時間が過ぎます。
そうしているうちに、自分にダニがついているのに気づきました。
ここは普通に歩けば病院まで2日かかるようなところ。自己対処するしかない。
親切な小屋番から湿布を頂いて窒息死させる作戦をしましたが、翌朝もとれておらず、よくいるとすでに死んでいる(というか見つけた時点で死んでいたのでしょう)ので、なるべく口が残らないように気をつけながら、しかし素手で外してしまいました。
正解はマダニ用ではないものの小屋にピンセットがあったので、口が残らないように外すことだったと思います。
ダニの感染症は24時間以内に外せばまずおこらないと言われています。
以前かかった皮膚科医にも教えてもらったので間違いないと思われます。
トータルでリスクを考えると、皮膚科にかかれない環境なら、すぐに外してしまったほうが良いと思われます。
この日の夜は土砂降りで、テン場もドロドロでした。
マダニにも刺され、泣きたくなるような夜でした。
スゴのテン場は700円。
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七日目【立山連邦】
長丁場で、足のむくれがひどい感じです。
豆ができてそれが破れ皮膚が再生しないような。
これで本日の行程、結構長いけど大丈夫だろうか心配していました。
立山エリアに到着すれば、勝ったようなもんだと思って進みました。
スタートは雨から。しかし日の出ぐらいに晴れ、テン場まで快晴。
貴重なハレの日でした。
越中沢岳への登りはかなり大変で、嘘マークもちらほらあって要注意。
ピークを超えて五色沼までは極楽です。
五色沼は美しいところでした。できることなら、ここで眠りたかった。
ここでは雷鳥がすぐ横をちょこちょこ歩きます。
自分の影に入るほど、1mぐらいまで、捕まえられそうな距離にいます。
上市駅から水晶岳までいくという方に会いました。
ほぼTJARのコース、最速クラス。
「水晶岳、いけるんですか?!」「いけないかな?そこで家族が待ってるんだけど」
彼ならいけるような気がする。
「栂海新道からぐるっとまわってきました」「4日めぐらい?」「いや、7日かかってます」「じゃあ乗ってきたところだね」「もうボロボロですよ」
私もまだまだ。
急いでいるはずなのに余裕を感じられる方でした。有名な方なのかな。
他にもTJAR風の方がいくらかいらっしゃいました。
天気もいいし、チャレンジ開始には良い日でしょう。
五色沼からザラ峠、獅子岳から鬼岳、龍までいくのは、これもまた大変な岩場。
そこで前を行く若い女性は五色沼でバイトをしていたそうです。
ほぼ初めて登山で難所をこえてバイト先までいき、いま帰るところ。
交通費は室堂まででるそうです。室堂で1泊。
しかし室堂から五色沼まで何時間も歩くところは支給外。
かわいそう、労基法違反かも?
浄土山の分岐までくると、別世界。富士山ライクな世界。
人がごちゃごちゃおります。
ここから立山と室堂が望めるはずでしたが、私が来る少し前にガスって隠れてしまいました。
結局立山と劔の姿は満足に見られていません。みくりが池も。
立山の特に雄山までは初心者ゾーンで、絶対道譲らないマンとか、山頂の標識前から動かないマンとか、そういう世界です。
なるほどここは、歳とった親を孝行で連れて行くような山なんだなと、子供が迷子になる山なのだなと、山と食欲と私を思い返しました。
天気もいいし、ごった返す人をみて、これは駄目だと諦めて一の越山荘で熊鈴をつけました。
そして遠慮せず、悪いけど先いかせてくれませんかね、と言いながら登ることにしました。
それをやって、追い抜かれた人が迷惑受けるわけでもないわけで。
雄山までは苦痛の登り複線化された登山道もよくないなあ危ないなと思いながら、あっというまの山頂。
立山は立山三山、雄山、大汝山、富士の折立。
雄山は最も宗教的儀礼的聖地で、人で込み合うところ。
山頂3003mにはお金を払って奉納してもらわないと入れません。
そこは早めに抜けて大汝山。こちらのほうが最高峰。
記念撮影をして休憩所でカレー800円。ウインナー付きで900円。
素のカレーを頼んで3秒後に、ウインナー付きにオーダー変更。貴重な肉です。
カレーが出てきて、いやあこんな普通のカレー食べたの、いつぶりだろううかと思ったのですが、考えてみたらヒマラヤンカレーを昨日食べたばかりでした。
関係ないけどスゴ乗越の小屋番と五色沼の若いにいちゃんと大汝休憩所の小屋番はなんか似ています。ひげもじゃでどこかヒマラヤン。
こちらでカップ麺を2つ調達。晩御飯としました。
カップ麺とあんぱんはどこの山小屋でも同じ値段なのはなぜでしょう。
運びやすいところも、そうでないところもあるはずですが、アンパンは300円で、カップ麺は400円です。
富士の折立は標高こそ3000に満たないものの、岩のゴツゴツした面白いピークになっています。
そこから別山(北別山)経由して、劔沢キャンプ場へ着く頃は、時間にも体力にも余裕がありました。
久しぶりの乾いたテン場。快適なテン場。トイレもあり水もある。
携帯の電波も通じる。それでいてたったの500円。
隣のテントのおじさんたちが20時過ぎまで話していたのを除けば最高でした。
濡れているものを乾かし、食事をしながらゆっくりと足をメンテナンスし、気象情報から明日の作戦を練ります。
最終日は、どうやら雨。雨の剱岳をどうするか。
乾いたテン場に雨が降り始める。
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八日目【劔岳、奥大日岳】
点の記を読んだばかり。今日は聖地巡礼。
午前中、5時から8時の間は雨が緩む様子。
天候を狙ってピークを狙うのが、なんとも小説を思い返す。
予定では3時出発でしたが、思ったより雨が激しいので実際はもう少し遅れて出発。
劔山荘までが意外と迷ってタイムロス。
それと剱岳まで、マーキングロストが多く、意外と時間がかかりました。
山頂までは、危険と言われたら危険ですが、コンディションを狙っていけば大丈夫。危ないところは全部鎖がついていて、どこを進めばよいか教えてくれます。
いまとなっては剱岳登頂するだけなら大した話ではない、子供からお年寄りまで登れるわけです。
つまり、一番始めにやった人は偉いということです。どこにとりつけばいいかわけのわからない山に対して、色員な場所からアプローチして、鎖をとりつけたのです。
点の記なら、鎖がなかったなら、そんなことを夢想して霧の中をゆきました。
今回間違えてカニの横ばいから登ってしまいました。
タテバイからおりたいところですが、誰もこないと思いましたが、横ばいで下ることに。
なので、タテバイがどんな場所だかわかりません。
横ばいは確かに危険ですが、やはり鎖があるから、岩が濡れていなくて気をつければ大丈夫ではないでしょうか。
なるべく良い条件で登るのは当たり前です。私が登頂したときは、想定どおり雨はやんでいました。岩は濡れていましたが。
また雨がふり、また雷に打たれないように、そそくさと下山します。
山も明るくなって、下山するころには8時だったか。
私が下山するころになって登ってくる人がいくらかいて、そのなかでも最後に登ってくる若い男女3人組は、今から登ったら土砂降りで危ないと教えてあげました。
「しってますよ、きをつけまーす(^^)」
気をつけまーすじゃねーよ、今日は中止だバカヤロー。
いやな、どうしても登りたいってのはわかる、今日しか登る日がないってのもわかる。
だけど、ゆっくり起床して7時過ぎに起きて、雨が一番ひどい時間帯に突っ込む意味は全くわからん。
それがツアーで客に向かって朝3時に起きてくれと言えないのはまだわかる。良いことではないけど。
それにお年寄り向けツアーはハーネスとか用意してるし、死ぬことはないでしょう。
あんたら少人数自由登山なんだから、天気予報見て起きる時間ぐらい調整できたでしょうに。
リーダの男、連れの女の子2人にいい顔したいのはわかるけど、嫌な顔されても3時起床にすべきでしょ。
案の定、彼らが山頂に着く頃に豪雨となり、この日は雷雨でした。
下山したら道が通行止になるほどの豪雨でした。
剱沢キャンプ場でテンチョを回収して、地図を確認すると、バスの時間が結構ギリギリかもしれないことがわかりました。
雨で出発が遅れたのと、劔岳往復に時間がかかったことからです。
なるべく急いで奥大日岳の尾根へ。
本日はここで雷鳥に出会いました。
奥大日コースは地図上のコースタイムがデタラメで、下山時刻が予測できません。
当初は半分ぐらいのタイムでしたが、ところによりコースタイムどおり、平均的には6割ぐらいでしょうか。
でも結局下山のときに時間を食って、終バス30分前になってしまいました。
今回は、足の裏のダメージがあったんですが、よく着地する拇指球あたりが特に酷くて、1日の後半は下山するたびに激痛が走る状態でした。
最終日はそれこそ標高2999mから1059mまで、おおよそ2000mを下ったわけで、最後の方はまともに歩けていません。
七福園、湿地帯、美しいルートであったのですが。
それでもなんとかバスの前には称名滝に降りました。
称名滝は、雨で水量が多かったのもあるのでしょうが、今まで見た日本の滝のなかで最高のものでした。
最高の落差に最高のボリューム。
さらに雨の日だけか、周囲の山から滝という滝が流れ落ちてきます。
これは異常な雨だったらしく、称名滝への道路はまもなく封鎖されました。
係員曰くバスは登ってこないとのこと。
危ないから道路は封鎖、徒歩で立山駅まで降りろと?
普段なら良いが、この足の状態で、この土砂降りの中を歩き続けるのは死亡する可能性がある。
これはまずい。助けて貰いたいけど、観光に来ている人がこの汚い、ずぶ濡れの自分を乗せてくれるだろうか?
少しでも早く下るべきだと判断して即あるきはじめましたが、あるき始めた私に声をかけるとても親切な人がいて、なんとか歩かずに下に降りることができました。
しかも銭湯に下ろしてもらえて助かりました。
銭湯でスマホの電源を入れてみると、スゴ乗越で会ったFさんが迎えに来てくれていたことがわかりまいた。大雨で心配してくださったのでしょう。
銭湯を出て合流して、一緒に食事をして、またどこかの山で再会することを誓って解散です。
本当は九日目に立山から鍬崎山に登るつもりでしたが、足の具合を考えると標高差1500mに耐えうるとは思えない。それに不潔な状態が続いていて、傷口の状態を考えるとやめておこうとなりました。
鍬崎山は、痛い思いをしながら下山している最中、ずっと目の前にドスンと存在感をもつ山としてありました。
こうして鍬崎山は思い出深い山になりました。
帰りは富山駅から鈍行で千葉まで帰りました。
糸魚川で日付がかわってしまったので適当に野宿して、お昼ぐらいに千葉到着。
あれだけ歩き回った後だから、単なる電車も十分速いなと思ってしまうのでした。
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