【allテン泊2週間】北アルプス単独縦断【親不知〜焼岳(中の湯)】
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2日目 0400栂海山荘TS-0520サワガニ山-0645黒岩山-1050吹上のコル-1145朝日岳-1245朝日小屋TS
3日目 0400朝日小屋TS-0600ツバメ岩-0810雪倉岳-1120白馬岳-1330杓子岳-1445白馬鑓岳-1530天狗山荘TS
4日目 0530天狗山荘TS-0710不帰1峰-0800不帰2峰北峰-0850唐松岳-1120五竜山荘TS
5日目 0420五竜山荘TS-0520五竜岳-0810キレット小屋-1010鹿島槍ヶ岳-1110布引山-1150冷池山荘-1300爺ヶ岳中峰-1350種池山荘TS
6日目 0350種池山荘TS-0450岩小屋沢岳-0520新越乗越山荘-0600鳴沢岳-0650赤沢岳-0830スバリ岳-0915針ノ木岳-1020針ノ木小屋-1130蓮華岳-1350北葛岳-1520七倉岳-1550船窪TS
7日目 0540船窪TS-0620船窪岳-0715船窪第2ピーク-0930不動岳-1050南沢岳-1200烏帽子岳-1300烏帽子TS
8日目 0420烏帽子TS-0640野口五郎岳-0800東沢乗越-0900水晶小屋-0925水晶岳-1030赤牛岳-1200水晶岳-1410黒部川水源標-1500三俣TS
9日目 0720三俣TS-0830鷲羽岳-0915ワリモ岳-1015祖父岳-1110雲ノ平山荘-1130雲ノ平TS
10日目 0530雲ノ平TS-0700薬師沢小屋-0940太郎平小屋-1040薬師峠TS(テント設営)-1140薬師岳-1220薬師峠TS
11日目 0400薬師峠TS-0420太郎山-0530北ノ俣岳-0600赤木岳-0720黒部五郎岳-0855黒部五郎小舎-1010三俣蓮華岳-1100双六岳-1125双六小屋TS
12日目 0520双六小屋TS-0545縦沢岳-0720千丈乗越-0810槍岳山荘-0840槍ヶ岳-0920槍岳山荘-0940大喰岳-1000中岳-1050南岳-1055南岳小屋TS
13日目 0600南岳小屋TS-0825北穂高小屋-0840北穂高岳-0920最低のコル-0955涸沢岳-1005穂高岳山荘TS(テント設営)-1100奥穂高岳-1225前穂高岳-1330奥穂高岳-1350穂高岳山荘TS
14日目 0540穂高岳山荘TS-0610奥穂高岳-0655ジャンダルム-0730天狗のコル-0750天狗岳-0855西穂高岳-0920ピラミッドピーク-0930西穂高岳独標-1000西穂高丸山-1010西穂高岳山荘TS
15日目 0530西穂高岳山荘TS-0710焼岳小屋-0810焼岳-下山1時間経過後登り返し-1010焼岳-1135焼岳登山口
| 天候 | 8/3-5 曇時々雨 8/6-17 晴れ時々曇 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2013年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
栂海新道の白鳥小屋から栂海山荘まではとにかくマムシが多いので、それだけ怖かったかも。それ以外はまあ一般登山道なので注意して通れば問題ありませんでした。 |
写真
2日目。本当は毎日の昼食にしようと思っていたスキムミルクとシリアルと水を混ぜた、このただのシリアルがとても美味しかったです。
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6日目。左が針ノ木岳、右が蓮華。正面に見えてるのは蓮華の大下り。500m以上をおりて、また250mくらい登り返すというとても体力がいる所。
7日目。南沢岳から烏帽子岳に行く途中の景色。自分の写真の腕が駄目すぎてこの景色をうまく表現できないのがもどかしいくらいに、ここの景色は良かったです。
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8日目。次の日に鷲羽に登るから、この日は黒部源流の方を通って行きました。源流碑自体は大したことありませんが、途中の源流につながる幾つもの沢は水量が豊富で素敵です。
9日目。夜、自分しかいないスイス庭園からとった水晶岳とそれに架かる天の川。吸い込まれそうな星空と大好きな水晶岳に時が止まったようでした。
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感想
ゲスト
山で応援してくれた方への報告という意味も含めて今回の山行記録を書いておきたいと思います。
今回は学生のうちしかできなそうなことをしたくて長めの縦走をしました。
ルートは一番長い縦走ができることと、小さい頃から見てきた山が多いということで、いくつも愛着のある山が多かったということで、北アルプスの南北縦断というルートにしました。
【縦走のマイルール】
・営業小屋などは一切使用せず、指定のテント場のみを利用すること。
・食料などはすべて持ち込み、サポートや補給(水のみ妥協)は一切しないこと。(水場なしのテントサイトでの水補給は妥協しましたが...)
を勝手に設定しました。なので、途中で、食料をくれようとした方が何人もおりましたが、断ってしまい申し訳ありませんでした。
【食糧について】
何度も食糧はどうしているのかという質問をされたのでここに書いておきます。
持って行った食糧は、
(主食)
白米アルファ米15食
味付きアルファ米15食(ドライカレー味や五目御飯など)
シリアル850g
棒ラーメン8食分
マッシュポテト200g
小さい丸パン 12個(おもに調理後のコッヘルを拭くのに使いました)
(主菜)
ひき肉醤油漬け600g(すでに味付け後火を通しておいて、キッチンペーパーを引いた皿で電子レンジに何回もかけて油分水分をできるだけ飛ばします。そのあとジップロック中につめました)
カレー粉300g
種抜き梅干し40粒(調理後のコッヘルを梅干しとお湯のスープ？で洗ってました。)
乾燥野菜(キャベツ、ホウレンソウetc) 200g(これはカレーにも味噌汁にもマッシュポテトにも入れられるため大変便利でした。)
乾燥しじみ 85g
サーモンフライ 200g
ベーコンビッツ200g
(携帯食糧)
いちごみるくあめ 1袋
アーモンドチョコレート 1袋
小魚ピーナッツ 500ml (いろはすのペットボトルに入れておくと食べやすいし、食べ終わった後簡単に潰れます)
ミックスナッツ 500ml (いろはすのペットボトルに)
甘納豆 500ml (ペットボトルに)
金平糖 80g
カロリーメイト4箱分 (早く出発したいときの朝食代わりに)
(その他)
にんにく 1チューブ
マヨネーズ 1チューブ
ウイスキー 500ml
さきいか 250g
いかフライ 200g
ファミリアチーズ 350g
スポーツドリンクの粉 15L分(少ないと思い節約していたら最後あまりました)
乾燥味噌汁の素 15食分くらい
青汁の素 15杯分くらい(最後の最後まで残っていた天敵)
スキムミルク 250g (シリアルと合わせるだけで素晴らしい食事に変身)
という感じで、飴、チョコレート、カロリーメイト以外すべて、ジップロックに詰めなおしてできるだけゴミを出ないようにしています。また、調理後のコッヘルも、味噌汁や梅干し汁でできるだけ洗った後、パンで拭くか水で濯いで飲んでいました。平気で、濯いだ食器の汁などを捨てる人はとても嫌いです。行動時間が長くない限り、基本的に朝に2食、夕方に1食という生活をしていました。
個人的には
ひき肉を再度炒めなおして、マヨネーズをつける超カロリーおかず。
スキムミルクとシリアルのふつうの食事。
ひき肉とマッシュポテトと乾燥野菜とカレー粉で作るポテトキーマカレー。
がよかったです。
ちなみに序盤に重いものを消費しまくったせいで、最後の2食は梅干しマヨネーズにんにくご飯という悲しい食事になってました。
【装備とか】
学生ですので、多少重くても、できるだけ安いもので揃えていきました。
登山靴や、ザック(88L)などは登山メーカーのものですが、衣類に関しては一切登山メーカーのものは持っていませんので、マラソンの参加賞Tシャツやユニクロのダウン、スポーツメーカーのレインウェアなどを持って行きました。
怖いもの見たさで、体重計に乗ってみると、ハイドレーション2Lと予備の水を入れる前なのにザックの重量は約30kg。
なので水分を含めると、およそ34kgくらいの荷物でスタート。食糧に加えて、一眼レフやレンズに三脚、いらない電池とか、父親からもらった重いコッヘルなど減らせるものはいくらでもあったけど、どうしてここまで重くなったのかという感じです。
【その他】
途中何度かされた質問とか、自分なりの意見とかを書きます。
Q. 途中で何度もやめたいとか思わなかったの？という質問が多かったので答えておきます。
A. 正直な所、30kgを余裕で超える荷物を背負うとそれだけで立っているのですらしんどいですし、辛いです。ましてやそれで標高を毎日1000m以上上げたり下げるとなると、それはそれはしんどいです。山じゃなければ絶対に出来るとは思いません。
でも一度も山を降りたいとは思いませんでした。
山にいられる、それだけで幸せを感じられるような人間なので耐えられます。
Q. そんなに山が好きなら将来は山関係の仕事につくつもり？とも多くの人に聞かれました。
A. 自分が山にいるということだけで、山は汚されてしまっているし、誰かを登山に誘うだけでいっそう山には迷惑がかかっているという現状をどうにかしたいと思っています。
山が好きな人なら一度は真剣に山の汚染について考えると思います。
僕は父親の教えもあり、コッヘルの汚れも全部落として飲む、歯磨き粉を使うわけもなく歯を磨いたあとのゆすいだ水もトイレットペーパーに出して持ち帰る、携帯トイレを持って行って絶対に指定のトイレ以外では用を足さないなどは守っています。
それでも、山に来ている以上、全く山に興味が無い山に来ない人に比べれば結局山で調理をして、ガスを使い、お金を払っていても結局山でトイレはするといった山を汚す行為をしてしまっています。それらを全部足すと、こんなにも山が好きなのに、2週間も山にいる時点で、どんなにストイックに山を汚さないように努力しても、山の頂上で平気で用を足す人よりも山を汚しています。
なのでそれらの問題を解決すべく、将来は、自己満足かもしれませんが、山や自然が好きなので、今大学で勉強している専門を活かして環境に関わるような仕事をして、せめて自分が山にいって山を汚してしまった分だけでも環境低不可な社会に貢献できるような、そんなことをしたいと思っています。
以下感想とか山行記録とか。(まだ適当に走り書きした程度なので、少しずつ気が向いたらなおします)
[1日目]
3時過ぎに実家を出発し、親に親不知の登山口付近までのせていってもらいました。
栂海新道の入口に5時前にはついて、もちろん海抜0mからのスタートがしたかったので、海岸まで父親と階段を下りて行きました。
昔、父親と母親でここに来たことがあったようで、父親も懐かしがっており、スタート地点にはいい場所だななんてことを思っていました。
登山口で父親と別れていざ、登山開始。
天気はあいにくの曇りですが、晴れだったらどうなっていたのかと思うような暑さでひたすら樹林帯を登っていきます。
坂田峠までは、コースタイムよりも明らかに早いペースで、このままだと昼過ぎには着けるなあなんて甘いことを考えながら進んでいました。
しかし、そこから白鳥小屋までの急登のつらいことつらいこと。
白鳥小屋に着いた時にはザックを下して、死んだように座っていました。
完全に体力が尽きていて、そこからマムシだらけの栂海山荘までの道が無限に続くように感じられました。
この道中でみたマムシは20匹を優に超えもう1日でこんなにマムシを見る日はないんだろうなあなんてことを思っていました。
最後のほうで、歩けなくなってしまい、もうだめだと15分くらい座り込んでいました。するとすごい近くで、声が聞こえたので、何だと思って歩き出すと、ほんの1分もかからず栂海山荘につきました。ガスっていなければ距離もどのくらいかわかったのかは不明です。
15分も山荘のすぐ下で体操座りしていたのは一体何だったのかという気分で、テン場の受付をすませました。
その日のテン場は、高校の山岳部と一緒になりました。
高校生は就寝時間になるとピタッと静かになったので、そのマナーをいつまでも忘れないでほしいと、とてつもなくうるさく騒いでいる山荘の中高年の人の声を聞きながら思いました。
[2日目]
2日目は朝日平までと決めており、標高差的には前日ほどきつくないため、少し心に余裕をもって出発しました。
朝ご飯は、食糧の袋の中で重いものを探して、一番重く感じた棒ラーメンを2食食べて、スタートはヘッドライトが必要な4時くらい。
夜は雨などもあたったので、心配な天気の中、案の定10分くらいで雨が降り始めました。
テントを畳むときは降っていなかったのが不幸中の幸いといったところでしょうか。
この時に、水場がどこも十分な水量があったので、もう予備の水2Lは捨てました。
黒岩平までは、1500mくらいの稜線歩き。
雨が降ったり、中途半端に展望が開けたりするような天気のなか、それほどつらくないアップダウンを繰り返していました。
黒岩平はあいにく天気は悪かったものの、湿地帯や花畑が多く、登山者も少ないのでいいところでした。
吹き上げのコルに着いたころには完全にガスっており、レインウェアとレインカバーは必須となっていました。
朝日岳についても展望は開けず、朝日小屋のテントサイトでゆっくりする1日となりました。
ただ、この日は前日の絶望クラスの疲労とは比べ物にならないくらい元気で、安心していました。
朝日平での夕方、少しガスがはれて、白馬岳方向の展望が開けたとき、高い山が見えて、いよいよ北アルプスらしい山々が始まることにテンションが上がっていました。
その日の夜は、雨がとても強く、テントの下が水でびちゃびちゃでした。
[3日目]
朝方、まだ暗い3時頃にテントを畳み、朝食はまたも重い棒ラーメンを食べました。
3日目は、天狗山荘までのコースタイムで11時間くらいの日程ということで4時ころには出発しました。
全く水平でない水平道を通って、雪倉岳に向かって歩く途中また雨が降り始め、この日もほとんどずっとレインウェアとザックカバーにお世話になる事になりました。
雪倉岳までの坂道は、まだ体力があって、時折遠くを見渡せたので足取りも軽かったです。
山頂付近では、この山行では最初の雷鳥を見ることができました。
雪倉岳からは白馬岳の頂上は見えないものの道は見ることができ、砂礫っぽい壮大な景色に感動しました。
白馬岳についた頃には残念ながら展望はありませんでした。
最初からその日のうちに天狗山荘のテン場にいく予定だったので、展望がひらけるまで待つなどの事はせず、杓子、白馬鑓の方へ行きました。
この時完全に展望はなく、ガスっていましたが、一瞬だけ杓子岳が綺麗に見える時があり、見れてよかったと素直に思いました。
迂回するというのはしたくなかったので、欲張って杓子、白馬鑓に登ったので、天狗山荘に付いた頃には足がフラフラになっていました。(途中杓子岳の登りで体操座りを15分ほどしていました(笑))
何より、3日間ずっと雨に振られていて靴が湿ってしまい、靴擦れがこの時7箇所ほど両足にできていたので、次の日がとても心配でした。
[4日目]
この日は五竜山荘のテン場まででコースタイム8時間程度とここまでの4日間で一番短かったので、朝は5時半と余裕を持ってでました。
足の疲労などは心配にならない程度でしたが、前日までで湿った登山靴と、靴擦れだらけの足をどうにかしないといけないということで、この日は絆創膏をして、靴下を2枚履いた後、靴下を濡らさないようにビニール袋を足に巻いて(蒸れはしますが)靴を履きました。それくらいしないと靴擦れが痛くて歩けませんでした。
不帰キレットは一部危険箇所がある程度ですが、一応人よりも荷物が大きくて重いことから、一層慎重になってわたらないと言い聞かせながら進みました。
キレットなどはコースタイムがゆっくりに設定されているので、あっという間に唐松岳につきました。
五竜山荘について、テントを張りました。
午後はガスってきて展望はほとんどありませんでしたが、次の日以降の天気予報で、ようやく晴れがやってくるということでウキウキしていました。
[5日目]
5日目は、種池山荘まで行こうか冷池でやめとこうか迷いながらも、選択肢の幅を広げるために、早めに出発しよと思い3時頃起きました。
テントをでて空を見上げて、満天の星空につつまれていることに気づきました。
この景色を見ると、本当に誰もが山に来て良かったと思うと思います。
元気が出たところで、まずは五竜岳を1時間程度で登りました。
その頃には太陽も出ており、五竜岳の山頂からは、劔岳がくっきり見え、そこに五竜岳の影が写るというとてもかっこいい姿を見ることが出来ました。
天気が非常によく、そこから鹿島槍へと続く稜線もくっきり見えており、前日までは出していなかったカメラを出しながら歩きました。
今日歩く、鹿島槍や爺ヶ岳は実家付近からも見ることが出来るので、日本海から出発して、自分の実家くらいまでは南下してきたのかと思うとなにか感慨深かったです。
五竜から下り、よく建てたなあと思うようなところに建つキレット小屋も越えて、あっという間に鹿島槍の山頂につきました。
遠くから見ると可愛い双耳峰の鹿島槍ですが、近くで見ると、2つの峰がけっこう離れていて面白いです。
鹿島槍の山頂はツアーで来ているような団体が山頂標識の近辺を独占して騒いでいて少し残念でした。
それからその団体の一人が、山頂付近で用を足していたをみて、冷池山荘まで2時間なんだから我慢するか携帯トイレを持ち歩けよと、内心ブチ切れていました。
「犬さん猫さんここはトイレではありません」というのと同レベルだと感じました。自分は今回の山行で5個携帯トイレを持ち歩いていましたが、ぜひ普及してもらいたいです。
冷池山荘には昼頃付いたので、種池山荘に向かいました。
種池山荘に行く途中に元気な老夫婦に会って、今回の山行について聞かれたので答えると、激励してもらえて嬉しかったです。
また種池山荘では、都会から集まった小中学生が、夏休みの自然体験のようなもので来ておりその小学生とも話しました。
聞くところによると、2週間あまりで、登山や川遊び、農家の手伝いやキャンプなどをやるそうで、自分が小学生の頃は当たり前のようにそういうことをできていてから、恵まれていたんだなあなんて思いながら話を聞いていました。
夕食は、マッシュポテトと乾燥野菜とマヨネーズとパンで贅沢な感じを楽しみました。
[6日目]
種池山荘の次のテン場は、針ノ木小屋、次が船窪となり、船窪まで行くとなるとコースタイムが14時間程になり、それを1日でいくか2日で行くかというのは最初から迷っていました。
針ノ木小屋につく時間と体力で決めようと思い、相変わらずヘッドライトが必要な時間に起きて、行動を開始しました。
その日も星がキレイに見えました。
種池山荘からは、蓮華岳と針ノ木岳が結構遠くに見え、1日で更にその向こうまで行こうと思うと、なかなか気が遠くなる感じがしました。
登山というのは面白いもので、足元を注意しながら歩いていると、たまに顔を上げて景色を見たときに思ったより山が近づいているもので、その遠さも意外と大したことないものなんですよね。
針ノ木岳までは鳴沢岳や赤沢岳といったピークをこなしていきますが、とにかく黒部湖と、立山連峰が近くに見えるのでそちらに目が行きがちでした。
針ノ木山荘には10時すぎに着き、その時点で船窪に行くことを決めていたので、念のため、休憩がてら昼ごはんを作って食べました。
蓮華岳は、重厚な感じで好きなタイプの山なので、登るのは楽しかったです。
そしてそのあと、大下りがとにかくきつい。
500m以上下って、250m近く登る。
下っても下ってもまだ下るから、足に負担がかかるのに加え、その下った半分を登ると考えただけで、針ノ木で泊まっといても良かったのではないかと思えてきました。
もはや目標がコースタイムというようなまったりペースで進み、船窪のテントサイトでは足がふらふらになっていました。
それでも次の日が烏帽子までのCTにして7時間程度というとても余裕な日程だったので疲労などの心配はなく、ちょっと危険な水場などを楽しんでいました。
[7日目]
朝はゆっくりめの4時半頃に起きだし、出発は5時40分くらい。
船窪岳までは、かなりの細い道を進み、その先の不動岳までは久しぶりの樹林帯歩きでした。
天気はよく、樹林帯は日陰ではあるものの、すずしいとは全く思いませんでした。
その先の南沢岳から烏帽子岳の展望がとても良かったです。
池が幾つもあり、池以外の場所はすべて植物の緑、その先に烏帽子のピークの岩という構図がとても良く、通りすぎるのがもったいないと思えるほどでした。
写真をとったり、ぼーっとしたりしていました。
烏帽子岳では、昔かなり山をやっていて、最近山を再開したという男性に会い、色んな話をさせていただきました。
烏帽子のテン場には昼すぎにはついており、日陰を見つけてそこでまったりとした時間を過ごしていました。
夜は、テントをうるさい4人パーティーの隣に張ってしまい、周りが寝静まっているにもかかわらず夜遅くまでどうでもいい話を聞かされてうんざりでした。
[8日目]
8日目は、赤牛岳に行けたら行こうと思っていたので、4時過ぎにはテン場を出発しました。
野口五郎岳までは、アップダウンが殆ど無いような道で歩きやすかったのですが、野口五郎の山頂は残念ながらガスっていて展望はありませんでした。
しかし、その後水晶岳の方へ歩いている途中に展望が復活し、水晶岳から赤牛までの稜線が姿を表しました。
自分は山が大好きな人間なので、山から見る景色がすべて山と言うのはまさに天国のようなもので、だからこそ、奥地にある山には特別な感情が湧き上がりました。
それに加えて水晶岳は大好きな双耳峰ということで文句のつけようがない良い山です。
野口五郎からの稜線から見る水晶岳はとても雄大でずっとそこを見ていたいと思うほどでした。
水晶岳に目を奪われて、あっという間に水晶小屋について、その時間があまりにも早かったので、荷物を水晶小屋付近におかしてもらい、軽装に代えて赤牛岳まで行くことにしました。
水晶岳には人がまあまあいましたが、その山頂には初めて立ったのでとても感慨深かったです。
そこから、赤牛岳を見ると、4.4km先ということで意外と遠かったです。
登りを含めてすべて早歩きでいきましたが、1時間程度かかり、赤牛岳についた時にはかなり疲れていました。
水晶岳のお隣さんということで、この機会に挨拶がてら登れたのは良かったです。
山頂には誰もいなかったので、むなしくタイマーで自分を一応山頂標識と一緒に撮影し、水晶岳に戻りました。
帰りは行きほどの元気はなく1時間30分くらいかかりました。
その日は三俣山荘のテン場に行こうと思っていたので、鷲羽経由か黒部源流経由の2択でしたが、疲れていたので、黒部源流経由で行きました。
黒部の源流標識付近で、最近登山を始めたという地元の方と話をし、また元気づけられました。
三俣山荘についた頃には赤牛岳をピストンしたのが効いてきたようでもうへろへろでした。
三俣蓮華のテン場は広く、雪渓から直接流れる川から水が取れるのですが、水がとてつもなく冷たかったです。
[9日目]
当初の予定では、9日目に薬師峠のキャンプ場にいようと思っていましたが、雲ノ平で急に泊まりたくなったので、雲ノ平までしか行かないことにしました。
それを決めていたので、出発はとても遅い7時過ぎ。
まず本日最初の目的地である、鷲羽岳を目指しました。
標高差も割りとありますが、一日のはじめということで、全くつかれませんでした。
鷲羽岳がそれにしても展望が凄まじくよかったです。
表銀座、裏銀座、雲ノ平、立山連峰、笠ヶ岳、黒部五郎なんでも見えます。
更に天気が本当にいいと、富士山やら白山まで見えるという話も聞き、鷲羽池のかっこよさも重なって、展望だけでみたら日本で一番何じゃないかと思えました。
そこからワリモ岳を経て、雲ノ平へ。
雲ノ平が近づくにつれ、水晶岳の前日に見ていない逆側がどんどん見えてきました。
角度が少し変わる度に水晶岳の写真をとって、目線は前日と同じでずっとかわいい双耳峰の水晶岳に釘付けになっていました。(あとで見返したら水晶岳だけで写真が100枚を余裕で超えていました笑)
その後、スイス庭園を経て、雲ノ平山荘まで、テン場の受付をしにいきましたが、なかなか遠かったです。
雲ノ平山荘は雑誌や山の本などで何度も見ていたので、実際に見るのは不思議な感じでした。
そこからテン場に行く途中、ライチョウの親子が目の前に現れて、逃げる方向が自分の進む方向だったので申し訳ない気持ちになりながらテン場に行きました。
テントを張った後、ペルセウス座流星群を夜見れるということで、一人になれそうな場所を探して、散策していました。
夜になり、星が見たかったので、スイス庭園にカメラと三脚を持って向かいました。
周りに人の気配はなく真っ暗で、空を見上げると天の川までくっきりと写っており、吸い込まれそうというのがまさに的確な夜空でした。
スイス庭園からは、星空が水晶岳の形に切り抜かれるといった景色が見れ、流れ星もいくつも見ることができ、本当に本当に幸せな時間でした。
いつか、誰かにもこんな景色を見せてあげたいなあなんて思います。
[10日目]
前日に星空の観察をしていたので、朝はゆっくりの6時スタート
最初は、なかなか評判がよろしくない薬師沢への下りです。
ジメジメして苔の生えた大きな岩と木の根が連続し、標高差300m近くを一気に下るため、本当に滑りやすかったです。
黒部源流を2日前に見ているだけに、あれがここにつながるのかーなんてことを思いながら薬師沢小屋の横を流れる黒部川を見ていました。
いつか沢登りもしたいです。
そこから太郎平小屋まではゆるやかな登りでそんなに疲れませんでした。
太郎平小屋からはテン場まで行き、テントを張りましたが、まだ早い時間なのに、大学の登山サークルなどが多く、すでにテン場は人であふれていて、この先のテン場事情が少し不安になりました。
テン場に荷物をおいて、また軽装にし、薬師岳を目指しました。
この軽装にすると、荷物が1/5以下の軽さになるため本当に羽が生えたように疲れることなく登ることができます。
なので、テン場から、止まることなく全て早歩きで1時間かからず薬師岳につきました。
薬師岳はかなり大きな山で、本当にこの辺りは名山と呼ばれるにふさわしい山が多いと感じました。
薬師岳からテン場までは40分ほどで着き、混みあったテン場で早めに寝ました。
[11日目]
11日目は黒部五郎を経由して双六小屋のテン場まで行くということで早めに出発しました。
黒部五郎は薬師の稜線から見るとカールが見えない分イメージが変わっていました。
11日目ともなると最初の頃に比べ荷物がものすごく軽くなっていたため、止まることを忘れてあっという間に黒部五郎岳につきました。
黒部五郎岳の山頂で、2日前に夕方のスイス庭園で雑談した女性に会い、話をすることができたので楽しかったです。
山では一期一会のような楽しさもありますが、また会えるというのも又楽しいものです。
黒部五郎をカールの方からおりて、振り返ると、大きな岩がいくつも転がったまさしく五郎にふさわしい姿が見ることができたので、黒部五郎小舎までは、何度も何度も振り返りながら下りました。
三俣蓮華岳は、岐阜県、富山県、長野県の県境ということで、白馬の北にある三国境から随分きたものだなあと実感しました。
そこから双六岳方向を見るとすごい遠くからやりを見ていただけに本当に槍ヶ岳が近く見えました。
双六岳のテン場には昼過ぎにはつき、とてつもなく美味しくない青汁カレーを作って食べました。
[12日目]
12日目は槍ヶ岳に登るということで、南岳小屋まではCT的には余裕がありましたが、槍の穂先がどれくらいかかるのか読めなかったので、そこまで朝はゆっくりしませんでした。
西鎌尾根は思ったよりもなだらかで歩きやすかったのですが、最後の登りだけはまあまあ急でした。
槍の肩について、軽装に荷物を変え、槍の穂先に行きました。
天気はとても良く、登ってきた山々が綺麗に見えたのに加え、海抜0mから初めて3000m超えの山に来たということで充実感が有りました。
晴れ渡る青空を見ながら、ちょうど去年のこの時期に東鎌尾根の方から家族で槍ヶ岳に来ていた時の雷雨を思い出したりなんかもしていました。
これで、槍ヶ岳への道は残すところ北鎌尾根のみとなりました。
南岳に行く途中には大喰岳や中岳がありますが、すべて槍ヶ岳の展望台のような位置づけになってしまうほどにやはり槍ヶ岳の存在感は大きかったです。
南岳のテン場でもゆっくりしていました。
[13日目]
13日目は大キレットの混み具合でかかる時間がわからないので、穂高岳山荘までと決めていました。
6時にスタートしましたが、出発してすぐ、スペイン人の男性に話しかけられ、苦手な英語を駆使して話をしているうちに意気投合しました。
結局この日は一日の行動を全部このスペイン人とともにすることになりました。
このスペイン人は、山にわざわざ鎖が付いていることが気に入らないようで、一切鎖を使わずに山を登っていて、自分と似ているなあと思いました。
北穂高岳について、一緒に記念撮影をし、メールアドレスを交換したりして、今度スペインに行く機会があったら山を案内してくれるようなのでよかったです。
トレランの国際大会などにも出ているようで、写真などを撮ってまったりしているし、決して走っているわけではないのに軽やかなスピードで歩くものだから、早くに穂高岳山荘につきました。
彼は槍ヶ岳山荘を出て、その日のうちに上高地に下って東京に帰るようで、前穂高岳に一緒に行こうと誘われたので、自分も急いでテントを張って、軽装に変えて前穂高岳まで穂高岳山荘から散歩をすることにしました。
まさか前穂高岳にも登ることになるとは思ってもいませんでした。
そのあと、そのスペイン人とは握手をして別れ、穂高岳山荘に一人で戻りました。
その日の夜は、東の空が雷がゴロゴロしていて、テントにいても何度もフラッシュが焚かれるような明かりに包まれていました。
てっきり誰かがヘッドライトを何度をこっちに向けているのかと思いました。
[14日目]
14日目は今回の山行の中では一番危険と言われる奥穂〜西穂の区間。
荷物は非常に軽くなっているものの、なめてかかると危ないと注意しながら行かなくてはなりません。
前日に少し雨が降っていたので、濡れていたらいやだと思いつつ、さすがに日が出て乾くまで待っていたら時間的に怖いので5時40分くらいの中途半端な時間に出ました。
奥穂高岳までは、とても混んでいて、プチ渋滞のようなものもできていました。
そこからは空いていて、馬の背を超えて、ジャンダルムに行きました。
いろいろなサイトなどで、奥穂〜西穂の話は出ていたのでいろいろ読んでいましたが、なめてかかると危ないもののそこまで高度感は感じませんでした。
ジャンダルムは西穂側からは割と簡単に登ることができ、奥穂高岳と槍ヶ岳の展望が良かったです。
そこから西穂高岳までは、いくつか鎖がありましたが、前日のスペイン人の真似をして一切鎖を触らないで登りましたがそのほうが確かに早いことが分かりました。
逆相スラブや天狗のコル付近の登りなどを楽しみながら進み、あっという間に西穂高岳につきました。
ここからはロープウェーで登ってきた人たちの比率が一気にあがりました。
皆さん各種登山メーカーの鮮やかな服装の人が多く、登山道に混んでいるテン場のような華やかさがありました。
それでも、夏山なら2週間マラソンの参加賞Tシャツでも登山ができるので、将来はお金がたまっても必要なものだけを買いたいなあなんて思ったりしました。
西穂高岳山荘はロープウェー利用者がとても多く、すごく混んでいて、なにかもう山から降りたような気分になりながら混んだテン場で最後の夜を過ごしました。
[15日目]
15日目の朝。
本当は今までの縦走を懐かしみながらヘッドライトをつけた時間に行動を開始しようと思っていましたが、親に11時に中の湯に迎えてに来てほしいと伝えていたのでそれでは早くつきすぎるとのことで、遅めに出発しました。
西穂高岳山荘から焼岳まではひたすら樹林帯で、もう穂高連峰のような険しさは一切ありませんでした。
焼岳小屋についたあともほとんど休憩せず、そのまま焼岳にむかいました。
焼岳は火山性のガスが吹き出して、そこに硫黄が析出してここまで見てこなかったような鮮やかな黄色が岩に付着し、空の青とのコントラストが非常に綺麗でした。
焼岳の山頂も日帰り登山の人で溢れかえっており、そこから中の湯に下りたらこの長い旅も終わるのかと思うと少し寂しくなりました。
下山を開始して1時間ばかりがたち、いよいよ終わりが近づいてきて、中の湯に付いたらどんな感情が溢れてくるのか楽しみになっていた時、前の方から見覚えのある超軽装の二人組が...
父親と弟が早く着き過ぎたからといって登ってきていたのです(笑)
せっかく登ってきたんだから頂上まで行かせろとのことで、どんな感情がとか考えてる余裕もないまま父親の速いペースで再度焼岳を登り返しました。
周りの人からは、山に何度も登られるんですか？などと不思議な表情で質問をされるままに山頂につき、そのまま中の湯に再度下山をしました。
単独で始めたこの2週間以上の縦走でしたが、最後はなんとも自分らしい、ちょっとしたハプニングでの幕切れでした。
中の湯の登山口に着いて感動したりするのかとも思っていましたが、まだ登山は終わった気がせず、今すぐにでも登ってきた山々を登り返したいようなそんな不思議な気持ちでした。
【まとめ】
計画していた頃は長いと思っていたこの山行もあっという間に過ぎ去って、
この山行の中で、また本当に山が大好きになりました。
中高生の頃に釣りで何度も通った親不知。
スキーで何回行ったかわからないような白馬。
自宅近くの道路から見える鹿島槍。
中学生の時はじめて登った北アルプスからみた城壁のような裏銀座。
去年久しぶりに家族で登った槍ヶ岳。
過去の思い出がこの縦走で繋がって、それがまた続いていく
この山行はそんな幸せを再確認させてくれたと思います。
この大好きな山で過ごした15日間は自分の中の本当に大切な思い出です。
登山中に励ましてくれた方々や、応援してくれた家族に本当に感謝しています。
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kok555 さん
社会人になるとなかなか出来ませんからね。
とても有意義な（そして羨ましい）夏休みであったことでしょう。
あとで息子と一緒に読むことにします。
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